チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2008年3月21日

また今、デモ隊が下の町まで

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a033f1b5.JPGまた今、デモ隊が下の町まで降りて行きました。
 とにかく一日中歩きながら叫び続けていないと、じっとしてると心をコントロールできないのでしょう。
 実際出身の僧院や地方が立ち上がり、家族が逮捕されたり犠牲者となった人がいるわけですから、じっとしてられないはずです。

 余談に思うに、チベット人は元来叫ぶことに慣れてるし、それが無意識のトラスト快感になっているが如きにも思える。広大な土地で叫び合ったり歌い合ったりしてた人たちだから。
 だっていくらなんでも一日中叫び続けるのは、もう普通じゃない。何人も失神してる。ドーパミン過剰状態です。
 例えばうちのレストランでもだいたいマチェンは大声で歌い続けるじゃないですか。
 
 ところで、今日もレストランは閉店です。開けると石が飛んでくるとか。
 いつまで続くのかな? この稼ぎ時にね。朝は閉めるかどうか判らず、開ける頃になって、閉めろーーー!!! とさながら愚連隊状態の旗振り隊が街中を走り回ったりする。
 そのたびに朝用意したパンや食材がだいなしになるので、レストランのマネージャーやスタッフも困った顔になってます。普段温厚な1人でさえ、チベット人は馬鹿だ!ともいっております。

 マチェンって厨房の男性スタッフだっけ? そんな歌ってたか。はは。
 メールには、レストランは情報交換の場でもあるから、せっかく世界中からいろんな人が集まってきている時に、レストランが開いているだけで様々な情報を持った人が集まってくるのに、閉めていては出会いもないし情報も得られないし、もったいないなあ、とも書かれていました。ふむ。
 日本のメディアもずいぶん来ているようです。私もこっちで新聞広げて、【ダラムサラ(インド北部)=○○○○】なんてクレジットを見ると、あー記者が行ってるんだな、ルンタ・レストランやってたら間違いなく和定食を食べに来てくれたかもなー、などと思ってますもん。

 あと、こちらは、18日にいただいたまま、ちょうどその時の私が忙しすぎて、そのままになってしまった、ダラムサラからのもう1通のメール。
 チベット人が、「チベット人だ」ってことを再確認しているんだなあ、と思わされたり、そういうことができない「中の人」はいまどんな気持ちで日々いるんだろうか……と思ったり。

 昨日、図書館の私の先生の仏教クラスに行った時。
 珍しく先生も本気の顔して、クラスのみんなに紙を一枚配りました。
 それは亡命政府が「チベット人のアピール」として配っているものでした。
 以下に訳します。

 中国政府はダライラマ法王に対し以下の批判をしている。
 1.法王はチベットの真の自治を求めているにもかかわらず、中国はダライラマを分裂主義者と非難する。
 2.法王は民主主義を標榜するにもかかわらず、中国は法王が古い封建制度を復活しようとしていると非難する。
 3.法王は北京オリンピックを支持しているにもかかわらず、中国は法王がオリンピックに反対していると非難する。
 我々は国連、各人権擁護団体、ならびに世界中の自由を愛する国々に対し、真正な証人として行動することを、これらの中国政府の非難は根拠のない、嘘偽りであることを自ら確認することを要請する。
 チベット人の真理と正義のための戦いは、チベットと中国が相互平和条約を結ぶまで終わらないであろう。我々は非暴力のデモ、平和的行進を続ける。
 我々は世界中の国々に対し、我々の正義を支持し、平和的キャンペーンを妨害しないことを要請する。
 以上。
 ……つまり、やめる気は全くないということですかね? 
 法王はインタビューのなかで、「止めるなと中から電話が入ってる」「私に従わないのは民主主義が生きている証拠だ」とかおっしゃり、「止めることは私にはできない」ともおっしゃっていました。
 尤も他の質問の中では「沈静化することを望む」ともおっしゃっていましたけど。

 またデモの声が聞こえ始めたよ。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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