チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2008年5月1日

29日付TCHRD発表

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bc793942.JPG以下はTCHRC(チベット人権民主センター)29日発表記事をA女史に翻訳して頂いたものです。

4/29/08 (即時公表用)
http://www.tchrd.org/press/2008/pr20080429a.html

「素早く迅速な」法的処分により17人のチベット人が中国により投獄される

中国の国営放送は今朝(29日)、2008年3月のラサ反乱に関連した罪により、17人(30人との別情報あり)のチベット人が3年から終身刑に渡る刑を受けたことを発表した。2008年3月10日以降ラサやチベット各地で反中国デモが起きて以来、チベット人が中国により厳しい拘禁刑を受けたのは今回が初めてである。今回厳しい判決を受けたチベット人達は、中国政府が告知した自首の期限が切れる前に降伏したチベット人の一部かどうかは、国営放送は明らかにしていない。

新華社通信は、「パッサンという名の仏僧を含めた2人(3人との情報もある)の男性が終身刑を受けた。(中略)パッサンは5人の僧侶を含めた10人のチベット人を率いて商店を焼き払い警官を攻撃した。(中略)5人の僧侶のうち、2人は20年の刑、他の3人は15年の刑を受けた。終身刑を受けたもう一人のチベット人はソナム・ノルブという名の、ラサ不動産会社に勤める運転手である」と伝えている。判決を受けた残りの10人については、詳しいことはわかっていない。

3月の汎チベットデモの後、中国当局は何千人ものチベット人を任意に逮捕した。国営放送は2300人のチベット人が逮捕されたと報道しているが、TCHRDは実際の数はこの何倍にも上ると見ている

チベット自治区共産党と政府関係者は、「チベット分離派」と「ダライ徒党」に反撃するために、何度かに渡り、迅速で素早い裁判が行われることを求めた。2008年4月4日、ラサ市共産党副書記長は、ラサで逮捕されたチベット人のうち、800人が裁判にかけられると言い渡した。2008年4月2日の夜に行われたチベット自治区法廷関係者の会議で、チベット自治政府副会長ペマ・ティンレーは、「法の力で敵に反攻するよう」呼びかけ、3月の反乱に加わった者に対して「素早く迅速な司法手続き」が行われるよう要請した。4月9日の中華人民共和国外務省での打ち合わせの際に、ジャンパ・プンツォクは記者に、「逮捕された953人のうち328人は釈放され、403人は裁判所により刑が申し渡される」と述べた。

チベット自治区外のチベット人居住地域では、反対運動に参加した何千人ものチベット人が現在拘留されている。チベット人による集団反乱後、中国人民武装警察と公安局は、特に、カルゼ(中国名:ガンジ)、ンガバ(中国名:アバ)、サンチュ(中国名:シャヘ)、カンロ(中国名:ガンス)地域のチベット人を多く逮捕している

チベットにおいて独立したマスコミと監督機関が存在せず、司法手続きがチベット人の基本的人権を守る代りに報復手段として利用されているなかで、TCHRDは中国占領下のチベットにおける法的手続きのあり方に懸念を示し、先月の反中国デモで意見と表現の自由という基本的人権を行使したチベット人が、今後中国政府により最悪の処分を受ける可能性を憂える。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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