チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年4月27日
続中国との対話
25日付RFA(ラジオ自由アジア)の記事をA女史が訳して下さいました。
4-25-2008 RFA News
http://www.rfa.org/english/news/tibet_media-04252008164648.htmlダライ・ラマ、チベット内でのマスコミ取材許可を希望
ダライ・ラマは、反中国デモの弾圧の様子を調査するために、ジャーナリストがチベット内で取材できることを中国政府が許可するよう要請した。これに対し中国政府は、ダライ・ラマの公使と対話を再開する準備ができていると発表した。
4月24日、ダライ・ラマはニューヨーク州コルゲート大学を訪れた後、中国人のマスコミと記者会見し、過去の中国政府との対談は形のみで、実質的に意味のある話し合いではなく、「中国側が一方的にチベット問題の責任が我々にあることを非難をするのみ」に留まったと語った。
新華社通信によると、中国政府は25日、ダライ・ラマの特別公使と対談を再開する準備ができていると発表したが、詳細については明らかではなく、チベットの独立を主張しないことを条件に話し合いに応じる模様であると伝えた。
チベット亡命政府の首相サムドン・リンポチェは、話し合いを再開するのは時期的に妥当ではなく、チベット内での情勢が正常化し、中国側がダライ・ラマに対する中傷を止め、前向きな姿勢で対話に望む姿勢があることが不可欠であると応えた。
ダライ・ラマは、チベット人の生活向上のために中国政府はより一層努力をすべきであり、チベット人の満足感がたかまれば、チベット独立主張の動きも和らぐであろうと答え、チベット内の情勢を調査できるように、マスコミの自由な取材を許可するようにと、中国政府と国際社会に訴えた。
ダライ・ラマはまた、チベットの自治のみを希望するチベット亡命政府と独立を要求するチベット青年会議との間に、今まで意見の食い違いがあったことを認め、青年会議側の主張はあまり現実的ではないと述べた。
チベット亡命政府と中国政府は、チベット問題に関し過去6回に渡る一連の話し合いを持ったが、結論の出ないまま2007年後半に話し合いは中断された。亡命政府がチベット自治区を訪問することを許可されたのは、今までただ一度のみである。
3月中旬からラサを中心にチベット各地に広まった反中国抗議デモは、国際的に大きな非難を呼び、中国側によると、これまでに22人(このうち21人はチベット人、1人は中国人)の死亡者が出たとのことだが、チベット亡命政府によると犠牲となったチベット人の死亡者数は140人にも上る。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)