チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年4月25日
新たな<愛国教育>キャンペーン全チベット社会を襲う
24日付のTCHRD(チベット人権民主センター)の記事より、
http://www.tchrd.org/press/2008/pr20080424.html
チベット自治区内及びその他のチベット人居住地における一連の抗議運動を封じ込めようと、中国政府は新たな<愛国教育>キャンペーンを始めた。
これまではこの愛国教育は、長年に渡り反体制派の根城と目されてきた僧院に対して行われるものであった。
しかし今回はより強化され、より厳格な愛国教育が、すべてのチベット人社会組織に対して行われ始めたのだ。
4月初めに公表されたこの<2ヶ月間の新愛国教育キャンペーン>の対象は僧院はもとより政府職員、警官、公安職員、農民、遊牧民、私企業、学校へと及んでいる。
このキャンペーンの趣旨或いは隠された意図は「ダライクリーク(一味)と3月14日暴動の実態?を知らしめ、ダライ一味を明白に批判否定し、対決姿勢を示すこと」にある。
この二か月間でチベット社会すべてにこの教育を徹底させるために。共産党執行部指導のもとに新たな委員会が組織された。
この愛国教育は3つのテーマを掲げる。
<分裂主義者に対決する><社会秩序を守る><発展を讃える>
これらの学習が徹底されることがこの教育の目的とされる。
そのために集会が開かれ、専門家のスピーチの後、<愛国教育>の内容についての学習と議論が行われる。中国の法律と刑罰についても忘れずに付け加えられる。最後にはダライラマ批判セッションがあり全員が声を出してダライ批判のスローガンを叫ぶことが強要される。
続く。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)