チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年4月23日
22日付委員会プレスリリース
22日付となっていますが、実質本日付です。と言うのも通常夕方5時以降朝までにその日のアップがなされるからです。
Press Release 22nd April 2008
http://www.stoptibetcrisis.net/pr220408.html
<チベット農民ゼネスト>
確かな情報筋が伝えるところに依れば、チベット自治区カルゼ県タウ地区内のミンヤ村、ギュソドン村、カシチャ村及びドゥンダ村の農民は中国政府に抗議するためにすべての農作業を停止したという。
Minyag Gharthar, Gyugsodong, Kashicha and Dhumdha in Tawu district of the Karze Tibetan Autonomous Prefecture
抗議の内容は、「中国政府によるチベット全土に及ぶ極端なまでの弾圧により、多くのチベット人が殺され、逮捕された。逮捕されたもの達は監獄で拷問を受けている。
このままではチベットに於いてチベット人は完全に消え去るであろう。中国政府は即刻チベット人に対する弾圧を停止せよ」というものだ。
地区官憲は即刻作業を再開するよう命令を出した。その上で命令に従う各農家には400元が報償として与えられるとも発表した。
<愛国再教育キャンペーン>
また同じカルゼ県にあるリタン ゴンチェン僧院論理哲学学堂the school of Dialectics of Lithang Gonchen monastery in the Karze Tibetan Autonomous Prefecture
の僧侶たちに対し、地方政府は今月20日までに中国国旗を僧院に掲揚すること、及び各自自分のサインがしてある白紙の用紙に顔写真を張って提出することを命令した。
従わない者には厳罰が与えられよう、と忘れずに書き加えられていた。
しかしこの学堂の僧侶たちは20日付で政府に対し、命令に従わないことを伝えたという。
この学堂に先立ち、リタン ゴンチェン僧院本山に対し中国側は4月4日、5日に同様の命令を下した。しかし僧院の僧侶全員が即座に「どうせ後から勝手に何でも書けるような<サインの入った白紙の紙>などどうして渡せようか!」と言って命令に従うことを拒否したという。その後の状況は不明。
<ネチューン僧院>
4月19日には中国の官憲はラサのネチューン僧院(神託で有名)に向かい<愛国再教育キャンペーン>を行った。しかし僧侶たちは集会に出席すること自体を拒んだ。
この結果6,7人の僧が逮捕されたという。
<悲しい話>
4月16日アムドのガッパ キルティー僧院の一僧侶トゥサム29歳は、今回の中国によるチベット人に対する弾圧からくる極度の緊張に、これ以上耐えられない、と言って自殺した。
彼は元々目が悪かった。死ぬ前に彼は親戚の一人に次のように語ったという。
「ちゃんと目の見えるチベット人でさえ、中国によって打ちのめされる今のチベットの状況に誰もが耐えがたい思いを抱いている。私は目が見えないけれど、目が見える人と同じか、それ以上に耐え難い思いを抱いているのだよ」と。
(私が今までに見聞きした情報だけで、自殺者の数は20人を超える)
チベットの危機的状況を鑑みて、委員会は国連及び各国際機関に対し以下の六カ条緊急要請を行う。
1.早急にチベットに独立した事実調査団を派遣すべきこと。
2.早急にチベット全土で自由な取材が許可されるべきこと。
3.早急に中国政府はチベット全土でチベット人に対する弾圧
と残忍な殺戮を中止すべきこと。
4.早急にすべての拘束、逮捕者を解放すべきこと。
5.負傷しているチベット人が適切な手当を受けられること。
6.チベット人の移動と、生活必需品へのアクセスが許される以上
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)