チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年4月20日
ラサ近郊ペンボ、ルンドゥップの現状
昨日オーストリア経由でペンボの様子がRFAに電話で伝えられました。
ペンボとはラサの東北東2時間ぐらいにある、ルンドゥップの町を中心とし、周りの幾つかの村落を集めた地域の名前です。有名なガンデン僧院があり、この僧院の僧侶の多くはこの地方の出身です。
私も23年前と10年前ぐらいにここを訪ねたことがあります。瓦礫と化したガンデン僧院の裏山の上から眺める、この地方のまさにチベット的な得も言えぬ美しさはいまでもはっきり覚えています。
かかわりの深い9-10-3の会のメンバーにはこの地方の出身者が多い。例えばルンタホームページでその26年に及ぶ獄中生活をすでにご紹介しています。
http://www.lung-ta.org/testimony/jampa.html
今は亡きジャンパ プンツォック氏もこの地方の出身です。
彼の一生は長かったのでその証言も少々長いのですが、59年動乱とその後のチベットを知るには大切な証言と確信いたします。ルンタのT女史が聞き取りまとめたものです。
その他の証言集は比較的短いのが多いです。
是非今こそお読みください。多くは20年前ラサで行進を先導した人たちの、その時とその後の生きた証言です。
チベット支援の集会などで資料として有用と思われるなら、遠慮なくプリントアウトして御使用ください。
前置きが長くなりました。
このペンボでは先の3月15日に僧侶たちが抗議のデモを行い、続く16日にはこれに市民も加わり1000人規模のデモとなった。これに対し中国の武装警官が発砲を交えて弾圧した。
15日だけで約250人が逮捕された。
http://tchrd.org/press/2008/pr20080317a.html
この衝突が原因で今までに3人の死亡が確認されたと今回新しく伝えられた。
直接銃弾に当たり死亡したのは1人、撲打が原因でしばらくして病院で死亡したものが2人と氏名を上げて報告された。
またガンデンチュコルという尼僧院にはかつて55人の尼僧がいたが今では3人を残すばかり、ナーランダ僧院も壊滅状態だという。
この町には元僧侶、元政治犯のチベット人も多く、ラサのデモにすぐに呼応して立ち上がったというわけだ。
_____________________________________
http://www.savetibet.org/セイブチベットのサイトより以下の地図を添付する。
4月5日までの抗議行動発生地がプロットされている。
チベット全土に広がっていることがはっきり解る。
この他http://tchrd.org/maps/march_2008/でも説明付きの地図を見ることができる。
アップは最近あまりされていないようだが。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)