チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年4月19日
アムド、ロン ゴンチェン僧院事件
まず、この4月16日に新たに起こった事件についての最新ニュースは今日付けの
http://www.tchrd.org/press/2008/pr20080417a.htmlに載っています。
以下この事件について要約報告。
アムド、レコン郷にあるこのロン ゴンチェン僧院はレコン郷では有名な僧院である。
17日、午前11時ロン ゴンチェン僧院僧院の僧22人がレコンの中央市場で平和的デモを行った。目的は先の3月16日のデモで逮捕された3人の僧(ロプサン ドゥンドゥップ20才、ダクパ 28才、ロプサン ドゥンドゥップ 30才)を解放せんがためであった。
数分後には全員その場で警官に逮捕された。
その知らせを聞いた仲間の僧80人が市場に向かって朝方逮捕された22人を解放せよ、と叫びながら行進した。それを見た、回りのチベット人がその行進に加わり始め市場に着いたころには大きなグループとなっていた。
応援の武装警察が呼ばれ、デモ隊との緊張が極度に高まった。この時、この僧院の元僧院長アラ カスツァン長老80歳が駆けつけ、双方の間に立ち、何とか衝突を避けさせようと説得に入った。
しかし警察側は彼を全く無視し、一斉に老人、子供、誰かまはず、棍棒で殴りかかった。この際80人(TCHRD発表)から140人(TSC緊急委員会)がその場で逮捕され公安拘置所に連行された。
今日新しく入った情報では、このアラ カスツァン長老は昨日の騒動の最中、警官から頭を強打され、今危険な状態とのこと。西寧の病院に運ばれたとの情報もあるという。
17日の午後6時ごろ、ロン ゴンチェン僧院に武装警官隊が現れ、押し入り、各僧房から無理やり僧侶たちを追い出し、全員を中庭に集めた、銃口を向けられ、後ろに手を回し跪くよう命令された。その間にすべてのお堂、僧房がダライラマ法王の写真
を探し出すためにむちゃくちゃに荒らされたという。
現在も武装警官隊により僧院は封鎖されたままだという。
実はこの僧院ではずすでに先月3月16日に大規模なデモを行っているのだ。
300人ほどの僧がまず丘の上でダライラマ法王の長寿を祈願して大きなサンスー(お香供養祭)の煙を上げ、そのまま今度は地方政府庁舎に向かって行進を始めた。
市民が加わりデモは大きくなり、警官隊と衝突した。その時の被害については詳細不明。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)