チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年4月17日
デリーに<トーチャートーチ>が来た日
今日はいよいよデリーにオリンピックトーチが来る日ということで、ダラムサラでももちろんデモがありました。
もっともトーチは昨夜、夜中にニューデリーのメリデアンホテルにすでに到着しています。
今インドは午後3時ですがまだトーチリレー自体は始まっていません。
ダラムサラのその毛のありそうな元気な者たちの多くは、デリーに結集するために2、3日前からここを立っています。おそらくその数500人ぐらいでしょう。
さっきインドのテレビに映ってたのは、デリーのチベット人デモに加勢しようとダラムサラからバスをチャーターして乗り込もうとした外人グループが途中で警察に阻止されているところが写っていました。
「これは表現の自由だ。何で止めるのか!チベットでは沢山の無実の人達が殺されてるんだぞ!」とバスの中から外人女性が叫んでいました。
インドのテレビではこのチベット人の抗議活動についてが今日のトップニュース。
いやオリンピックトーチがトップなのかな?
朝からずうーとやってます。
デリーに集まったチベット人には今までのところ、ほぼ三様の動きが見られます。一番目立つ動きを見せているのはやはり、TYC(チベット青年会議)のメンバーを中心とするグループです。一昨日には中国大使館に近づこうとして、突進して果たせず、数十人が逮捕され、昨日は自分たちの<独立トーチ>を掲げて、インドの国会議事堂からインド門に向かって行進し、同じく数十人が逮捕された。
こうなるともう兵隊もあんまり残ってないんじゃないかと、心配にもなるが、、、
今日はまだ今のところ例のホテルに近づきすぎて数人が逮捕されたぐらいだ。
もう一つのタイプはデリーの至る所に分散して個々人が目立つところでチベットの旗を振り、叫ぶというゲリラ型。
これは中々効果があるみたいです。テレビ局と組んでいたりしますから映像にはなり易いのです。
もっともこれでもすでに数人は逮捕されています。
最後は委員会が主催する、ジャンタールマンタールでの静かな集会です。実はほとんどのチベット人はここに集まって静かな抗議集会を開いています。
インドの放送局も「ほとんどのチベット人はここで静かな抗議集会を開いている。行動しなくてはおれない若者たちは他のグループを作ってる。しかし彼らの行動もただ国旗を持って行進する(走る)だけであり平和的と言えよう」とコメントしていた。
さてダラムサラのデモについてです。
ここの元気のいいのはもうほとんどきっと今頃インドの拘置所の中と思わせるかの如く、思ったより参加人数は少なかった。おそらく2000人ぐらいか。
檀上にもいつもの顔は見られませんでした。ちなみに何時ものプレス連もいなくて、ただインドのテレビ局だけはやけに張り切ってライブを流していました。
ルンタレストランをはじめマクロードの店は今日はまた閉店です。うちは夕方から開けるつもりです、従業員全員デモに行きたがるので仕方ありません。
今日も推奨スローガンの紙が配られました。今日は叫んでもいいようです。今日の皆の声は相当大きかったと思います。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)