チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年4月16日
作家、タレント、演出家として著名なチベット人女性逮捕される
http://phayul.com/news/article.aspx?id=20668&article=Leading+Tibetan+Writer%2c+Performer%2c+Producer+Arrested“>http://phayul.com/news/article.aspx?id=20668&article=Leading+Tibetan+Writer%2c+Performer%2c+Producer+Arrestedチベット人の反中国抗議運動弾圧の最中、自治区政府は作家でもあり、テレビプロデューサー、タレントでもある著名なチベット人女性を逮捕した。
RFA(ラジオフリーエジア)が西寧からと伝えるところでは。
4月1日、ジャミヤン キー女史は国営青海TVの中にある自分のオフィスから私服警官に伴われてどこかね連れ去られた。
「彼女はそれきり消えてしまった」
「あるゲストハウスに連れて行かれ尋問を受けているらしい、という情報もあるが、、確かではない」
彼女は広く各地で公演会を開いていた。アメリカでも公演と講義を行ったことがある。
一方、北京の信頼できる筋からの情報によれば、罪名は不明だが、彼女は西寧公安局によって正式に逮捕されたとのことだ。
中国では逮捕が証拠に先行するのが常である。
西寧からのもう一つの情報によれば「公安の者たちがジャミヤン キー女史の自宅からパソコン、携帯等をすべて持ち去った」という。
<テレビプロデューサー、音楽家、活動家、ブログ作家>
40代のジャミヤン キー女史は国営青海テレビ局のチベット語セクションのプロデューサーとして20年以上のキャリアがある。
チベット人の間では特に女性問題の活動家として有名だった。
2006年には歌と講演のアメリカツアーを行った。
彼女のブログは若いパソコン好きのチベット人の間で人気が高い。しかしなぜか、この騒乱が起こる数か月前から全くアップされなくなっていたという。
彼女は青海省の中でも僻地の北西部マンガ地区の出身。キーは歌手、作曲家としても知られ、ヒットしたミュージックCD<祈り>、ビデオCDには<遠い恋人>と<カルマ>がある。
作風はモダンポップとチベット各地の伝統的フォークを融合したものだ。
ジャミヤン キー女史はこれまでに逮捕されたことはなく、今回の逮捕の理由はまだ明らかではない。
しかし、この50年間で最も広範囲に渡る反中国運動が起こり、激しく弾圧される中で、カム、アムド、ラサ地区出身のチベット人で最近外国に行ったことのある者の多くが公安の尋問を受けているという。
<過去の因縁>
青海テレビ局では過去にこんなことがあった。
2006年にダライラマ法王は「チベット人は毛皮などを衣服に使用しない方がいい」と発言された。
これに対し中国当局は青海テレビ局のチベット語セクションのキャスターは従来のチベット服の襟に毛皮をトリミングするようにとの命令をだした。
明らかなダライラマ法王にたいする当てつけのつもりだったのだ。
青海プロパガンダ省省長のチェ シゼンと地区共産党政治理念共闘作業局局長のリンチェン ギャル が青海テレビ局を訪れこのことを命令したという。
「これは政治の話だ。だから君たちは全員毛皮のトリミングを着けなければならない。持ってないものは買いに行けばよい。その金は我々が出してやろう」と役人は言ったという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)