チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2015年8月28日
<速報>新たにアムド、サンチュで女性が焼身・死亡 内地143人目
焼身・死亡したタシ・キ。
8月28日付けチベットタイムスなどによれば、昨日27日の夜、アムド、サンチュ県(甘粛省甘南チベット族自治州夏河県)サンコク郷でタシ・キと呼ばれる女性が焼身抗議を行った。
「目撃したチベット人たちが命を救おうと火を消したが、夜中の(今朝)3時頃死亡した」と現地から伝えられ、さらに「夜明け頃に警官隊と軍隊が大勢遺族の家に押しかけ、遺体は奪いされれた」と言われる。
タシ・キはサンコク郷グルラ村の出身。その他、年齢や家族構成などの詳細はまだ伝わっていない。
内地焼身抗議者143人目。内外合わせ148人目。この内124人が死亡している。
今年に入り7人目。
新たな情報が入り次第、続報をお伝えする。
参照:8月28日付けTibet Times チベット語版
8月28日付けTibet Express 英語版
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<続報>タシ・キは55歳、5人の子供の母親 自宅を壊されたことも焼身の原因か?
その後、伝えられた情報によれば、タシ・キが焼身した8月27日、サンコク郷グルラ村に部隊と役人約150人が押しかけ、正式な書類がないことを理由に彼女の家と思われる一軒の家屋をブルドーザーを使い完全に破壊したという。
この際、村人が大勢集まり、ブルドーザーにしがみつくなどして抵抗したが叶わず、抵抗した家の持ち主は連行されたという。この後、タシ・キが焼身したことなどから、彼女の焼身の直接の原因は家を取り壊されたことによるのではないかと推測される。
もっとも、地元のチベット人たちは「中国当局のチベット弾圧政策が彼女の焼身の主な原因だ」と主張しているという。
タシ・キの年齢は55歳、5人の子供がいたという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)