チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2015年4月11日
焼身した尼僧の死亡が確認された? 焼身中の写真伝わる
炎に包まれ座り込んだ尼僧イェシェ・カンドに、駆けつけた警官が消化液をかけている。
尼僧イェシェ・カンドの焼身後の生死は不明であったが、4月10日付けRFA英語版等によれば、次の日の9日、警察が家族に死亡を知らせたという。しかし、家族は遺体を引き取らせてもらえず、遺灰もなく、本当に尼僧が亡くなったどうかは分らないと話しているという。
最近家にいた彼女は焼身の前日珍しく尼僧院に現れたという。そして尼僧院の仲間たちと話をするなかで、彼女は「明るく、楽しむべきだわ。でもチベットのために何かやることも大事だわ。焼身とかね」と言ったという。しかし、その時には誰も彼女が本気に焼身するとは思ってもいなかったという。
「イェシェ・カンドはとても控えめでした。勉強や修行をたくさん終えていましたが、まったく鼻にかけることもなく、親しみ易い性格でした」と仲間の尼僧は語る。
カナダ在住の日本人画家井早智代さんが尼僧イェシェ・カンドに捧げられた絵。
井早さんはこの絵に次のダライ・ラマ法王の言葉を添えられている。
“Give the ones you love
Wings to fly
Roots to come back
and reasons to stay”
Dalai Lama愛するものたちに
飛ぶための翼を
帰る場所(根)を
そこに留まる理由をあげなさい
これまでチベット内で起こった主な抵抗運動と焼身発生地を示した地図。マークされているのが今回のカンゼ。
以下、昨夕ダラムサラで行われた、尼僧イェシェ・カンドを弔うためのキャンドル・ライト・ヴィジル。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)