チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2015年4月10日
<速報>カンゼで一人の尼僧が焼身抗議、内地138人目
尼僧イェシェ・ドルマ(又はカンド)
4月10日付けTibet Timesによれば、4月8日、カム、カンゼ(དཀར་མཛེས་རྫོང་།四川省カンゼ・チベット族自治州カンゼ県カンゼ)の中心街の路上でイェシェ・ドルマ(ཡེ་ཤེས་སྒྲོལ་མ།)と呼ばれる一人の尼僧が中国の圧政に抗議するために焼身を行い、その場で死亡した。
遺体は駆けつけた部隊により運び去られた。地元のチベット人たちは遺体を家族の下に帰すべきだと、警察に要求していると言われるが、現在の状況は伝わっていない。
焼身したイェシェ・ドルマについてはチョクリンガガンゾモ尼僧院の尼僧であり、カンゼ県ダクセ郷の出身ということ意外は今のところ分っていない。
チベット人の焼身抗議は、先月ンガバで47歳の女性ノルチュクが焼身して以来、約1ヶ月ぶりである。
内地焼身138人目、内外合わせ143人目。
今年にはいり2人目である。
カンゼでの焼身は2人目。
詳細が伝わり次第追記する。
追記:オーストラリア在住の同郷チベット人カルマによれば、焼身者の名前はイェシェ・カン(ཡེ་ཤེས་མཁའ་འགྲོ)、幼名はイェヤン。年齢47歳。ンガガン尼僧院の尼僧。
4月8日の早朝、彼女はカンゼ僧院を何度か巡った後、午前9時頃県警察署の近くで焼身した。
目撃者によれば、彼女は「ダライ・ラマ法王をチベットにお招きすべきだ!チベットには自由が必要だ!ダライ・ラマ法王に長寿を!」と叫びながら焼身したという。
駆けつけた警官が消化器で火を消し、彼女を警察署に運んだ。その後の消息は不明であり、彼女の生死も不明という。しかし、目撃者たちは「彼女が生き延びる可能性は少ないだろう」と話しているという。
警察は次の9日に家族を呼び出したが、遺体?は渡されなかったという。
彼女は長年同じ尼僧院に暮らし、控えめで、模範的な尼僧であったという。また、普段から政治問題に関心が高かったという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)