チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2015年3月18日
またもンガバで僧侶が1人デモ/ソク県で僧侶7人連行 携帯で写真や情報をやり取りか?
ンガバで僧侶が1人デモ
ダラムサラ・キルティ僧院によれば、3月17日現地時間午後3時40分頃、アムド、ンガバ(བོད་མདོ་སྨད་རྔ་པ་རྫོང་། 四川省ンガバ州ンガバ県)の大通りで、ンガバ・キルティ僧院僧侶ロプサン・ケルサン(བློ་བཟང་སྐལ་བཟང་།、19歳が左手でダライ・ラマ法王の写真を掲げ、右手でルンタ(祈りの紙切れ)を空に撒き上げながら、「チベットに自由を!」と叫び、行進した。中国共産党のチベット弾圧に抗議したものと思われる。
焼身抗議が頻発するンガバは今チベットでもっとも警戒の厳しい街である。ただちに警官が駆けつけ、彼は取り押えられ、連行された。その後の消息は不明。
僧ロプサン・ケルサンはンガバ県チャルワ郷チュクレーカプマ村の出身。父ツェリン、母デチェンの息子。幼少時よりンガバ・キルティ僧院の僧侶。
参照:3月17日付けTibet Timesチベット語版
3月17日付けRFA英語版
ソク県で僧侶7人連行 携帯で写真や情報をやり取りか?
当局が「(2008年)ラサ暴動の日」とする3月14日、チベット自治区ナクチュ地区ソク県にあるツェンデン僧院(སོག་རྫོང་ཙན་དན་དགོན་པ།)の僧侶7人が僧院で拘束、連行された。警察は拘束の理由を明かさず、行方も不明のままである。地元の人々は「お互い(政治的に敏感な)写真や情報を交換し合っていたからであろう」と推測している。
拘束された僧侶は、ナムギェル・ツルティム、ロトゥ・テンジン、ツルティム・ゴチェ、ツルティム・ナムギェル、タプケ・ルンドゥプ、ジグメ・ツルティム、ジグメ・ダクパである。
ツェンデン僧院には50台ほどの監視カメラが設置され、僧院内に警官も多く、僧侶たちは24時間監視されているという。夜トイレに行く僧侶が警官から嫌がらせを受けたりしているともいう。また、18歳以下は僧院から追い出されたという。
今回拘束された僧侶の中、ナムギェル・ツルティムはこれまでに2度拘束され、8ヶ月に渡り、虐待を受けたという。
3月以来チベット全域でネットが規制されているが、特に自治区ナクチュ地区のダチェン、ディル、ソクの3県ではソーシャルネットの監視が厳しく実施されているという。また、この時期、地区の元政治犯は全員警察に呼ばれ、尋問を受けるという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)