チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年12月31日
チベットが世界初!世界一! 14のリスト
年末の締めくくりにちょうど良さそうな記事を見つけたのでそれを紹介する。
いつもの暗めの記事ではなく、世界でこれを始めたのはチベットが最初!とかチベットのこれは世界一!というリストである。チベット人は6百万人ほどしかいないが、驚くべきこと、誇って良いこと(慈悲の文化だけでなく)をこれまでにいくつも成し遂げているのである。
以下に紹介する写真とリストの元記事は、ウーセルさんのブログの英訳等を紹介するHigh Peaks Pure Earthであるが、そのまた元は左の写真にある中国の social mediaやWeChat上で広まっているものという。
High Peaks Pure Earthの記事にはいくつかのNo1に関し短い注が付けられている。これは<注>として紹介すし、私のコメントは<補足>とする。
このリストについては異論・反論とか、もっと詳しい説明が知りたいとか、これだけじゃないこんなものもあるぞ、という意見がでるであろう。そのような場合にはどうぞそういったコメントを寄せてほしい。
1.ファーストフードを発明した(ツァンパ)。
<補足>ツァンパは高地性裸麦(大麦の変種)を煎って、うす等で粉にしたもの。チベット人の主食。このツァンパとヤクを飼うことによりチベット人はあの高地でも生活を続けることができたといわれる。
これが世界で初めてのファーストフードと言えるのかどうかは私には分からないが、面白い話を一つ。
インド軍の中にはチベット人主体の第22部隊というのがある。この部隊は高地特殊部隊とも呼ばれる。何度かのバキスタンとの戦闘においても常に最前線で戦っている。「インド人はいくら高地に行こうとも、必ず火を起こしチャイとチャパティを作らないといけなくて戦闘準備に時間がかかる。しかし、チベット人は水(雪)さえあれば、ツァンパを食いながら休みなく闘い続けることができる」と聞いた事がある。
2.ポロ(競技)を発案した。
<注>チベット語が英語に取り入れられた稀なケースである。
とあるから、本当にポロゲームはチベット人が始めたようだ。
3.初めて馬を飼育した。
<補足>写真がなぜ馬でないのかは不明。
この主張には「いやスキタイ人だ」とかの異論が出るかも知れん。検証は難しかろう。
4.初めてモデルコンテストをした(サムイェ寺建設時にティソン・デツェン王とパドマサンバヴァが主催。
<注>この史実はチベット最古の文献である『the Bazha (Sba bzhed)』に書かれている。ツィソンデツェン王とグル・リンポチェ(パドマサンバヴァ)はサムエ寺創建にあたり、そこに奉納する仏像をインドや中国で作られていたそれぞれの民族をモデルにしたものではなく、チベット人をモデルにしたものにするために、まずその元となる理想的な若いチベット人男女を選ぶ目的でコンテストを開催した。
<補足>近年、ダラムサラではロプサン・ワンギェル・プロダクションの主催により、「チベット美人コンテスト」が毎年行われるようになっているが、このコンテストに対し、最初当時の首相であるサムドン・リンポチェが「仏教社会に相応しくない」との理由で異議を唱えられたが、この史実からみるとその目的の違いは大きいにせよ、正当な歴史復活と言えないこともないか?
5.世界 一長く王朝を継承 。
<補足>吐蕃王朝のことを指していると思われる。が、この吐蕃王朝についてはどこまで史実なんだか私にはよくわからない。
6.最も早く穀物を耕作した国。
<注>ワシントンポストのこの記事(英文)を参照とある。
<補足>この記事は「裸麦栽培がいかに人類が高地に住み始める事に貢献したか」という記事ではあるが。
7.世界 で最初に留学生を外国に派遣。
<注>8世紀にツィソンデツェン王がインドへ仏教を学ばせるために学生を送った。
8.世界 で初めて鉄製の橋を架けた。
<注>チベットの天才タントン・ギェルポ(1385–1464 or 1361–1485)が14世紀に!
9.世界で最初に陶器に装飾を施した民族の1つ 。
10.世界で最初の眼科手術 。
11.世界で最初に製錬技術を開発。
12.世界 最大のブロンズ像。
<注>タシルンポ僧院内。
13.世界 最大のペインティングクロス(僧院の布タンカ)。
今年もこのブログを閲覧して下さった方々に深く感謝!
来年も引き続きチベットをよろしくお願いします!
良いお年を!
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)