チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年12月27日
ンガバで若い僧侶が一人デモ
12月26日、アムド、ンガバ(四川省ンガバ・チベット族チャン族自治州ンガバ県ンガバ鎮)の中心街にある「勇者の道」で、若い僧侶が一人で、中国政府のチベット弾圧政策に抗議し、自由を求めるデモを行った。
ダラムサラ・キルティ僧院内地情報係り僧カニャク・ツェリンと僧ロプサン・イェシェによれば、この僧侶はンガバ・キルティ僧院に属するロプサン・ティンレー(བློ་བཟང་འཕྲིན་ལས།)、21歳という。
現地時間午後4時40分頃、現地のチベット人たちが多くのチベット人が焼身した場所であることから「勇者の道」と名付けた路上で、頭頂にダライ・ラマ法王とチベット国旗を合わせた大きな写真を掲げ、「ダライ・ラマ法王が何万年も生きられますように!チベットに自由を!」と叫びながら進み、数分後公安派出所の前に来たとき、警官たちに撲打の末拘束された。
彼が拘束されたことを目撃したチベット人たちは、抗議の声を上げながら公安派出所の前に集まったが、駆けつけた部隊が彼らを殴り、蹴散らし、その際数名が拘束されたという。
拘束された僧ロプサン・ティンレーと他のチベット人たちの消息は依然不明のままである。
彼が抗議デモをした後、普段より厳しい警戒が続いているンガバではされに警戒が厳しくなり、現場付近は大勢の部隊により閉鎖されているという。
僧ロプサン・ティンレーはンガバ県メウルマ郷第4村の出身。同じ村の出身である、ツェペ・キ、20歳がその4日前、12月22日に焼身・死亡している。年齢も近く2人は知り合いであった可能性が高いと思われる。
僧ロプサン・ティンレーは幼少時よりンガバ・キルティ僧院の僧侶であり、現在心理学科(བློ་རིག་འཛིན་གྲྭ)在籍中。父の名はノルデン、母の名はチョクスム。
彼が今激しい拷問を受けていることは間違いないと思われる。
参照:12月26日付けRFA英語版
同チベット語版
12月26日付けTibet Timesチベット語版
12月26日付けTibet Post 英語版
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)