チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2014年12月23日

<続報>昨日焼身・死亡したツェペ・キ、20歳は善良な牧民女性

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昨日(12月22日)ンガバ県メウルマ郷の路上で焼身抗議を行い、その場で死亡したツェペ・キについては、当局が地域に厳戒態勢を敷き、電話やネットも遮断したことにより依然詳しい情報は入っていない。それでも、何らかの手段を使い、現地と連絡を取ることができたダラムサラ・キルティ僧院の情報係り僧カニャク・ツェリンを中心に以下の情報が流されている。

ツェペ・キが焼身した場所はメウルマ郷中心街にある大通りの下手、焼身した時間は現地時間午後2時頃とされる。焼身を見守るチベット人の数は少なかったが、伝わった焼身中を写すビデオにはダライ・ラマ法王を喚起するお経を唱える声が入っている。彼女はその場で丸焦げになっている。その丸焦げになった遺体を駆けつけた部隊がどこかに運び去った。

ツェペ・キは幼少時より家族の仕事である牧畜を手伝い、一度も学校へは行っていないという。6人兄弟の4番目であり、その善良で控え目な性格が広く周囲の人々に賞賛されていたという。

彼女が焼身した後、すぐに両親が警官により連行されたが、その後2人が拘束されたのかどうかは不明とされる。

彼女の名前と年齢については最初「ツェペ」とされ、その後「ツェペ・キ」とするメディアが多い。しかし、在北京の作家ウーセルさんは「ツェペ・ドルマ」としている。年齢についても「20歳」とするメディアと「19歳」とするメディアに別れている。

ンガバ県内の焼身は彼女で33人目、メウルマ郷での焼身は7人目である。

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(再掲)井早智代さんがツェペ・キに捧げた絵

以下はウーセルさんが彼女に捧げる詩としてFB等に発表されたものである。これはロシアの詩人マリーナ・イヴァーノヴナ・ツヴェターエワの詩である。以下の日本語訳は中国語から の重訳、K氏の試訳である。

私は不死鳥、燃え盛る炎の中でさえ歌う
この高貴なる生命を惜しむがよい
私は轟々と燃え上がり、灼け尽きて灰燼となる
あなたたちの闇夜に光が差すことを願って!

凍てついたかがり火が噴水のように燃え盛る
私は上体をすっくと起こし巍然(ぎぜん)として揺るがない
私は語る者、そして受け継ぐ者
その崇高な称号をこの上もなく大切にする者!

中国語訳:
“我是凤凰,只在烈火中歌唱!
请你们珍惜我高贵的生命!
我熊熊燃烧,我烧成灰烬!
但愿你们的黑夜能变得光明!
寒冰的篝火燃烧如喷泉!
我要巍然屹立挺直腰板,
我是交谈者,也是继承人,
我无比珍惜这崇高的头衔!”

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内地焼身者顔写真:VOT Gurbum Gyalo製作

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内地焼身抗議・主な抗議活動発生地地図(2014年12月23日付け、Tsampa Revolution 製作)

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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