チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年11月4日
中学生が「平等と民主」を求めデモ
(写真左)2012年レコンで「民族平等・言語自由」を訴えデモを行うチベット人学生。
11月1日、四川省ンガバ州ゾゲ県にある蔵語中学校の生徒たちを中心に一般人も加わり、当局の教育政策に抗議し、平等と民主を求めるデモが行われた。デモのきっかけになったのは、この数日前にンガバ州教育委員会の書記が教育者を集めた会議で、「チベット語を学習しても意味がない。中国語だけを教えるべきだ」と発言したことに反発したものと言われる。
デモの様子を映したビデオが伝わっている。もっとも、最初の数秒間は周りの様子も写っているが、その後、前の人の背中ばかりが写っている。
彼らが叫ぶスローガンが聞こえる。内容はRFAによれば、「1人助けるより100人助けたほうが良い。平等!民主!教育平等!」と叫んでいるという。
この書記の発言に対する批判はネット上にも広がり、デモには一般のチベット人も大勢参加していたという。その後、どうなったかは伝わっていない。
2010年と2012年、アムドのレゴンやチャプチャ等で中学生を中心に「民族平等・言語自由」を訴える大規模なデモが頻発した。これらも同化政策の一環として中国語をより重視する政策が発表されたことに対する反発であった。これらのデモを扇動したとして多くの学生が刑を受けている。
チベット人アイデンティティーの核と見なされるチベット語が、政策的に抹消されようとしている状況にチベット人たちは危機感を募らせている。
今回スローガンの中に「民主」という言葉が入っているのは、ひょっとすると香港の学生運動の影響かもしれない。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)