チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年8月27日
失踪1年7ヶ月後、ディルの僧侶が9年の刑を受け衰弱し刑務所に収監されていることが判明
チベット自治区ナクチュ地区ディル県にあるラプテン僧院の教師であったゲシェ(博士)・ツルティム・ネンダク(40)は2012年12月中にラサで拘束され、その後1年7ヶ月の間、行方不明のままであった。今年7月31日になり、当局は初めて家族に彼の消息を知らせた。
それによれば、当局はゲシェ・ツルティム・ネンダクに9年の刑を与え、現在ラサのチュシュル刑務所に収監しているという。当局は罪状を明らかにしていない。裁判は全くの秘密裁判で行われたことは確かである。
家族がチュシュル刑務所に彼を訪ねたところ、彼は全身に傷跡があり、非常に衰弱した状態であった。刑務所側に家族が彼に治療を施すか、或は家族に引き渡すよう要請したが、現在まで完全に無視されているという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)