チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年8月27日
拷問死した夫の妻が自殺/部隊が警官を誤銃殺
先のブログでお知らせした、村長解放デモに対する治安部隊による無差別発砲事件で銃弾を受け、その後治療を受けるどころか拘置所で更なる拷問を受け死亡した3名のチベット人の内の1人、ジンパ・ターチン(18)の妻が8月18日、自宅で首をつり自殺した。
26日付けRFAによれば、ジンパ・ターチンの妻は妊娠7ヶ月であった。彼女は夫が8月18日に拘置所で拷問死したことを知らされた後、その日の内に自殺したという。
同じくRFAによれば、当局がセルシュ県ダンマ郷弾圧の一環としてロチュク村に部隊を派遣し、住民に向け発砲した際、誤ってチベット人住民の中にいた警官の首に銃弾が当たった。その警官はその後死亡したとされる。
また、8月23日にはこの事件に関わったとして拘束されていた、64歳になるチベット人女性が拷問の末、重体となりダルツェンドの病院に急送された。当局は家族が付き添うことを拒否し、家族は病院にも入ることができないという。
カンゼ州セルシュ県ダンマ郷には今も大勢の部隊が厳しい監視を続けており、情報網は遮断されたままという。
事件の原因となったダンマ郷シュクパ村の村長ワンダクの行方も不明のままである。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)