チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年7月12日
リタン:共産党のやり方でなく西洋的やり方で問題を解決したとして拘束
最近、カム、リタン(四川省カンゼ・チベット族自治州理塘)で地域の代表的僧侶や村の代表者6、7人が県の警察により拘束され、その内数名は後に解放されたが、4人が今も拘束されたままという。
当局は拘束の理由を明らかにしていないが、地元の人々は彼らが「共産党のやり方に従わず、西洋的やり方で問題を解決したからであろう」という。
また、「彼らは普段からチベット人の連帯を説き、チベット人同士の問題とか、牧草地などの土地争いを解決する役を担って来ただけで、何の罪も犯していない。しかし、これを当局は民衆を誤った道に導いたというのだ」と話す。
ダライ・ラマ法王の誕生日辺りからこのリタンでもネットや電話が遮断され、されに軍隊が大勢、街に配置され警戒態勢が強化されているという。このせいもあり、拘束されている4人の現状を知ることができないままという。
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状況が今ひとつはっきりしないせいもあり、なぜ彼らが拘束されたのかについて納得するのが難しい。今回拘束された人たちはすべて地元のチベット人たちが自発的に、自然に問題解決を頼んだ人々であろう。そして、彼らは期待される役割を担い、問題を平和的に解決して来た。このある種の民主的村落自治を当局が犯罪と判断したと見ることもできそうだ。
この人たちは共産党よりも人々から尊敬と信頼を集め、頼りとされて来た。彼らは道徳を説き、チベット人同士が仲良く、団結することを説いた。また、問題を解決する手段として暴力を使わず話合った。これは共産党のやり方ではなく、西洋風のやり方であり、故に犯罪行為というわけだ。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)