チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年6月19日
チャプチャ:環境破壊に反対し多数拘束
前回のブログでチベット自治区チャムド地区ゾガン県において、鉱山開発に反対した地元のチベット人60人が拘束された、と伝えたばかりだが、今度はアムド、チャプチャ(青海省海南チベット族自治州共和県)で地元の採石開発に反対したとして27人が拘束されているという。
6月18日付けRFA英語版によれば、今月初めに当局は地元の大理石採石場開発に反対したとしてカルセル村のチベット人27人を拘束した。
「彼らは自分たちの土地と環境を守るために開発に反対することを表明した」と地元の人が伝える。
「そして6月6日と7日にチャプチャから県の警官が村にやって来て、村の代表2人と27人のチベット人を連行していった」
「内4人はその後解放されたが、23人は今も拘束されたままだ」という。
この採石場は1989年から大理石の採掘を始めた。そして「今年、採掘の契約は切れたはずなのに、それにも関わらずさらに拡張されている」という。
また、ここもチベット人が聖山と仰ぐ山の傍であり、チベット人たちはこの採石が神々を怒らせると危惧している。
「鉱山の近くには聖なる場所がある。地元のチベット人たちはそこで地元の神々に対し、供物を捧げ、タルチョ(祈りの旗)を掲げ、香を炊く」「鳥葬場もすぐ近くにある。今では、もう鳥葬場が飲み込まれそうになっている」「カルセル村で始まったこの採石は今隣村のギャラとの境界まで達している」と地元の人は訴える。
特に抗議デモを行ったとかの情報もないし、この27人が何の容疑で連行されたのかは不明である。今も拘束されているという23人の状況も、「何人かが頭を剃られた」という話が伝わっている意外不明である。資源獲得はそれが例え大理石であろうと、中国政府の重要政策である。これに反対すれば、すぐに痛い目に遭わされる。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)