チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年5月8日
孤児や貧しい家庭の生徒を集める学校が閉鎖され、1人の教師に13年の刑
青海省黄南チベット族自治州ツェンツァ(尖扎)にある、チベット人経営の私立学校が当局により閉鎖され、教師の内一人は13年の刑を受けた。
5月6日付けRFA等が伝えるところによれば、去年4月25日、ツェンツァにある「職業技術学校分校」に政府の役人が突然現れ、学校を閉鎖するよう命令した。理由は明らかではない。この時パクパという教師と生徒数人が拘束された。その後、生徒は解放されたが、パクパは拘束され続け、彼は13年の刑を受けたという。
この学校は2003年に孤児や恵まれない子供たちに教育を与えるために設立された学校であり、最近はチベット語、チベット文化、歴史の教育にも力を入れていた。2007年からはチベット医学のコースも始められていたという。閉鎖された時、生徒68名、教師10人が在籍していた。
生徒の1人は「この学校の設備や教師の質は高くて素晴らしい学校だった。学校は一度も政治的な問題を起した事はなく、なぜ突然閉鎖されたのか分からない。すべての生徒は郷里に帰らされた。とても残念で失望している」と語る。
また、もう1人の生徒は「この学校は恵まれない子供たちに教育を与え、利が多かった。当局がなぜ閉鎖したのか分からない」という。なぜ、パクパが13年もの長期刑を受けたのかも不明である。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)