チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年2月24日
「チベット独立」を訴えるビラを張り出したとして僧侶4人逮捕
ソク県ティド郷あたりの風景(Google Earthより)。
先の2月8日付け当ブログで「凍った川の上に 砂で『チベット独立』と描き 15~20歳の若者6人拘束」されたということを伝えた。彼らの消息は現在も不明のままだ。
ところで彼らが拘束された前日である2月2日に、同県同郷にある由緒ある僧院から4人の僧侶が連行されていた。このことは、先のブログの最後に詳細不明として少しだけ触れていた。最近この4人の僧侶についてより詳しい情報が入ったのでお知らせする。
2月12日付けTIbet Timesによれば、チベット自治区ナクチュ地区ソク県ティド郷(ནག་ཆུ་སོག་རྫོང་ཁྲི་རྡོ་ཡུལ་ཚོ།)ドワ・シャルツァ僧院(རྡོ་བ་གཤར་ཚ་དགོན་པ།)の僧侶4人が2月2日、警官に連行され、その後行方不明となった。
連行された原因は「地域内に『チベット独立』を求めるビラを40枚ほど張り出した」「中国当局が僧院側に渡した表札をなくした」「僧院内に常駐する部隊施設のドアや窓に石を投げつけた」ことによると伝えられる。
4人の僧侶とは:ツルティム・ケルサン(20)、ロプサン・イシェ(15)、ケルサン・ジャンパ(22)、ケルサン・ドルジェ(23)。
ドワ・シャルツェ僧院は1422年にシャンシュン・チュワン・ダクパにより開山されたゲルク派最古層の由緒ある僧院と言われる。
この4人の僧侶たちも若い者ばかりだ。彼らが連行された次に日に6人の若者が凍った川の上に砂で「チベット独立」という文字を描き連行されている。6人は前日に4人の僧侶が連行されたことを知っていたのかもしれない。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)