チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年2月23日
逮捕されようとしたチベット人が警官の前で抗議の自害
2月21日付けRFAによれば、チベット自治区チャムド地区マルカム県で20日、タシ・ツェリンというチベット人が中国の警官に逮捕されようとしたとき、自殺した。
タシ・ツェリンはかつて2008年チベット全土蜂起の際この地区で行われた抗議デモに参加していた。警官は今回、このかつての「罪」を理由に彼を逮捕しようとしていたという。しかし、タシ・ツェリンは警官たちの目の前で刀により自害した。
何らかの抗議デモに参加することは本来罪でも何でもない。彼が抗議の意図とともに自害したことは明らかであろう。それにしても、このような話しを聞くのは初めてである。
同じマルカム県ではこの5日前である2月15日にも、ケンパル僧院の僧侶20人が、同じく2008年の蜂起に参加した疑いがあるとして連行され、その後21日に全員解放されたという。
地区によって当局は3月10日の蜂起記念日を前に、6年前の出来事を蒸し返し、予備的拘束を始めているのかもしれない。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)