チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年1月8日
デルゲでトンネル工事に抗議したチベット人多数拘束
RFA等によれば、昨日、1月7日早朝、カム、カンゼ州デルゲ県にあるデルゲ僧院と付近のボンダ地区に突然大勢の警官と部隊が押し掛け、僧院や家々に押し入り多数のチベット人を連行したという。連行されたチベット人たちは去年末、12月27日に100人ほどで行われたトンネル工事に抗議するデモに参加したものたちという。
中国当局は去年5月20日、デルゲの街の下を貫くトンネル工事を開始する式典を行い、工事を始めた。地元のチベット人たちは環境破壊を理由に当初からこの計画に反対していた。工事のために強制的に移転させられたり、移転を拒否したチベット人の家が壊されたりした。工事が始まると、付近の家が地盤沈下により壊れたり、多くの家にひびが入るということも起った。
住民たちは政府に何度も書面で工事の中止を訴えたが、まったく聞き入れられなかった。業を煮やした住民は去年12月27日に工事現場に100人ほどが集まり、工事の中断を迫った。31日には再び県の関係当局に行き、訴えたが、まったく取り合ってもらえなかった。
そして、昨日、突然部隊が出動しデモに参加した人たちを連行したというのだ。
追記:今日のVOTによれば、連行されたのは20人と。また、地域の人々は「彼らを連行するなら、自分たちも連行してくれ」と懇願しているという。
参照:1月7日付けRFAチベット語版
1月8日付けTibet Timesチベット語版
1月7日付けTibet Expressチベット語版
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)