チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年9月12日
政治教育に反発し、老人が1人独立を叫び、警官に死ぬほど殴られた後逮捕、入院
9月3日、カム、ナクチュ、ディルゾン(ནག་ཆུ་འབྲི་རུ་རྫོང། チベット自治区那曲地区比如県)で68歳のダヤン(ཟླ་གཡང་།)と呼ばれる老人が、手にカタを持ち1人で「チベットは自由で独立した国だ!中国はチベットから出て行け!ダライ・ラマ法王に長寿を!」と何度も叫んだ。
警官はその日の夜、彼の家に現れ、彼の頭に黒い布を被せ逮捕した後、激しい暴力を加えた。
9月9日にはディル県の人民病院にダヤンが危篤状態で入院していることが判明した。
最近、チベット自治区政府が主導し、地区の政治宣伝部員と歌舞団がディル県の村々を回り共産党の政治方針と法律を宣伝していた。これがダヤンが1人でこのような抗議デモを行うきっかけとなったと思われる。
当局はナクチュ県のタルチェン郷、ディル県のダタン郷、ツァチュ郷等にこのような政治教育班約1000人を送り込み、3家に1人の割合で監督責任者を割当て、チベット人たちを厳しく監視するというシステムを構築しているという。
参照:9月11日付けTibet Times チベット語版
9月11日付けRFA英語版
9月12日付けTibet Expressチベット語版
9月12日付けphayul
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)