チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年8月28日
中国人密猟者と地元のチベット人が衝突 当局は無視
RFAに現地から報告されたところによれば、今年7月22日と23日、アムド、ゴロ州ペマ県マルコク・チェンポにあるチャパヤンと呼ばれる政府の保護森に中国人密猟者たちが現れ、ワイヤーの罠等を使い野生の鹿、ジャコウ鹿(གླ་བ་)、キャン(རྐྱངས་野生のロバ)、猿などを狩猟したという。
これを知り、政府から野生動物保護を委託されている現地のチベット人たち20人ほどが、直ちに現場に向かった。密猟者たちは彼らに石を投げ、「鉄棒」で襲いかかったという。チベット人たちも素手で闘い、激しい衝突となった。「警察も現場に現れたが、何もせず去って行った」という。
去年、同じようにことが起った時、チベット人たちは密猟者たちの持ち物を奪い、地方当局に証拠として提出し、対策を訴えたが政府は何もしなかった。「地元のチベット人がこの問題について当局に訴えても、彼らは何もしない」と現地の人はいう。
「中国中央政府の『チベットの脆弱な環境を保護すべき』という方針は、しばしば中国人移住者により無視される」と専門家はコメントする。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)