チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年7月31日
ダライ・ラマ法王はラダックで政治目的を伴った瞑想修行に入られる/来年のカーラチャクラ法要・灌頂の日程
ダライ・ラマ法王は7月29日の朝、北インドのチベット文化圏ラダックのレーに入られた。空港にはラダック出身の第102代ガンデン・ティパ、リゾン・リンポチェやジャム・カシミール州の観光局大臣初め、多くの地元の人々が出迎えた。
法王は瞑想場である、レーから10キロほど離れたチベット人キャンプ、チョクラムサールにあるシウェーチャル宮殿に直接向かわれたが、沿道には大勢のチベット人たちが列をなして歓迎の意を示した。
法王はラダックに到着されたあと、「今回は3週間、チベット問題解決を願う厳格な瞑想修行を行う」と語られたそうである。
法王は南インドで、今回のツァム(お籠もり。瞑想修行)の間、一般の信者も毎日『オンマニペメフン(観音菩薩の真言)』を1000回、『般若心経』を2回、『観音賛(འཕགས་བསྟོད།観音菩薩を賛嘆するお経)』を一回唱えることを勧められている。
チベット内地のカム、カンゼの僧院においても、この法王のお言葉に従い、「チベット問題解決」を願うためにこれらのお経が唱えられ始めたという。この動きは内地で広まる可能性が高いと思われる。
去年ブッダガヤで作られ、灌頂後に壊されたカーラチャクラ砂マンダラ。
カーラチャクラ法要の予定
来年の7月にこのレーで行われる「カーラチャクラ法要」の詳しい予定が発表された。期間は来年7月3日から14日までの12日間。
3日から5日までは灌頂への準備のために砂マンダラが作られ、読経などが唱えられる。
6日から8日までは前行としての法話。
9日にはナムギェル僧院の僧侶たちによるチャム。
10日から13日まで、カーラチャクラ灌頂。
14日には長寿灌頂(ツェワン)とダライ・ラマ法王の長寿を祈る法要(テンシュク)が行われ、終了。
法王によるカーラチャクラ法要・灌頂は今回で33回目。第1回目は1954年にラサのノルブリンカで行われた。去年1月にブッダガヤで行われた法要には約20万人が集まった。今回の参加者数の予測は10万人という。
日本人も参加したいと思われている人が多いかと思われる。宿泊所が満杯になる事は目に見えているので予約は早めにされる方がよろしいかと。
参照:7月30日付けphayul http://www.phayul.com/news/article.aspx?id=33804&article=The+Dalai+Lama+arrives+in+Ladakh+for+meditational+retreat
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)