チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年6月24日
ダンゴで口を撃たれた政治犯解放 兄弟は射殺
去年2月16日にカム、ダンゴ(四川省カンゼチベット族自治州炉霍)で逮捕されていたユンテン・サンポが6月20日に解放された。しかし、彼は警官に口を銃で撃たれ、会話が不自由となっており、また足も不自由になっているという。
カム、ダンゴでは去年1月23日、大規模な抗議デモが発生したが、これに対し部隊が無差別発砲したために2人が死亡し、その他30人以上が重軽傷を負った。詳しくはhttp://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51727698.html その後、一旦ダンゴ僧院に匿われていた負傷者たちは逮捕を恐れ、病院に行く事もできず、山に逃げた。そして、2月9日には山に逃げていた僧イシェ・リクセル(40)と弟のイシェ・サムドゥップ(38)が追跡部隊により射殺された。詳しくはhttp://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51729245.html
その日の内に、銃殺された2人の兄弟である、今回解放されたユンテン・サンポの家に部隊が押し掛け、ユンテン・サンポの口を撃ち、70歳の母親ヤンキの腕を撃った。さらに親がいないと言うのでユンテンが面倒を見ていた14歳の女の子ラキ・ドルマにも暴力を振い連行した。その後、母親のヤンキは撃たれた腕の切断手術を受けた。連行されたユンテン・サンポは行方不明となっていた。詳しくはhttp://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51732759.html なぜこの時、彼の家に部隊が押しかけ、彼らを撃ったのかは不明のままである。
今回、解放され自宅に戻る事ができたのだが、彼が刑を受けていたのかどうかは不明。自宅に戻った時には地域のチベット人たちが大勢集まり、カタとともに彼を温かく迎え入れたという。
このダンゴのデモに参加したチベット人たち30名以上に無期懲役を含む長期刑が与えられている。
詳しくはhttp://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51742485.html
参照:6月21日付けTibet Expressチベット語版 http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/10738-2013-06-20-06-27-36
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)