チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2013年4月27日

テンジン・デレック・リンポチェの孤児院教師をしていた2人の僧侶が失踪しすでに11年

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Tenpa-Rabgyal-Choedor-nyakchukha写真:右手僧テンパ・タルギェ、左手僧チュトル。

2002年4月に成都で起ったとされる爆発事件の嫌疑を掛けられ、裁判で最初死刑を宣告され、その後地元のチベット人や国際機関の強い圧力により2005年に終身刑に減刑され、現在も収監され続けているカム、ナクチュカの高僧テンジン・デレック・リンポチェは今も無実を主張し続けており、チベット支援団体が行う政治犯解放キャンペーンにおいても中心的存在である。

テンジン・デレック・リンポチェは地元で僧院、尼僧院、学校、病院、孤児院、養老院を建て、これを運営し、地元では絶大な影響力を持っていた。当局はそのような高僧を共産党の邪魔者として消し去るためにこの爆発事件も仕掛けられたのであろうと推測されている。

2010年に刑務所でリンポチェに面会することができた2人の妹は、「彼は非常に衰弱している」と報告している。また、ウーセルさんの報告によれば彼が建てた学校は養鶏場や屠殺場と化しているという。

今回、新たに彼が運営していた孤児院の教師をしていたオト僧院の2人の僧侶、テンパ・ラプギェ(35)とチュトル(45)が2002年に当局に拘束された後、今も行方不明であることが明らかにされた。この事実は最近インドに亡命した親戚により伝えたものである。

ゲルツェンというそのチベット人は「彼らが行方不明になってすでに10年以上経った。親戚たちが総出であらゆる手を尽くして探しているが、まったく消息が掴めない。もう当局により殺されてしまったのではないかと思われ始めている」といい、「2人は、2002年4月3日に起ったとされる成都の爆弾事件に関わったとして4月7日に成都で逮捕され、その後死刑を宣告されたロプサン・ドゥンドゥップと成都で同じ宿に泊まっていた。彼と別れ、ラプラン僧院に向かう途中で当局に拘束されたと言われている」と失踪の経緯を説明する。

「2人は、1998年にナクチュカのゲシェ・ルンパという場所でテンジン・デレック・リンポチェが始めた300人以上の孤児や貧しい家庭の子供たちが学ぶ学校の教師をしていた。しかし、後に当局はこの学校を強制的に閉鎖させた」という。

参照:VOT26日放送分http://www.vot.org/#
27日付けTibet Post http://www.thetibetpost.com/en/news/tibet/3364-two-senior-buddhist-teachers-disappeared-in-tibet-since-2002
テンジン・デレック・リンポチェについては:http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51316419.html
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51349180.html
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51339141.html
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51464483.html

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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