チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年4月26日
老若男女を問わずめった打ち
以下、25日付けTibet Expressより。
4月22日、ジェクンド(玉樹)州ナンチェン県バーポ地区(ཡུལ་ཤུལ་ཁུལ་ནང་ཆེན་རྫོང་དབའ་པོ་གྲོང་སྡེ་)で突然7人のチベット人が連行され、その後彼らの解放を要求した大勢の村人たちがボコボコにされ、重体となる人も大勢出たという。
7人が連行された理由とは、「政府が与えようとした僅かばかりの草と土地の金を受け取らなかったから」と書かれている。記事にはこれだけしか書かれていないので、その金がなんのためだったのか?それを受け取らないからといってなんで連行されるのか?といった疑問が湧く。考えられることは、その金は何かの補償金のようなものであり、それを受け取る事により、代わりに政府がその土地を自由に使えるようにするためのもの、或は、強制移住に伴う補償金、ではないか?それを受け取らないということは政府の意向に同意しない事を表明したことになるので、それで政府が怒って連行したのではないかと推測される。
で、仲間のチベット人たちが連行、拘束されたことを知った村人たちは彼らが拘束されている公安事務所に話し合いのために向かった。どれ程の人数が集まったのかは書かれていないので分からないが、とにかく、公安の前に行くと、話し合いが始まる前に、彼らは大勢の武装した警官に囲まれ、老若男女を問わす様々な武器を使いめった打ちにされ、催涙弾も打ち込まれたという。その結果、大勢のチベット人が「命に関わる状態に陥った」という。現在、現地の通信網も遮断されているそうだ。
中国当局のマフィアよりもすごい、いつもの暴力的性格が露にされたチベットではよくある事件と思われる。話合いの姿勢はまったくなく、とにかく逆らうやつはめった打ちにするという訳だ。相手が丸腰の年寄りであろうと、女性であろうとまったく意に介することはない。
参照:25日付けTibet Expressチベット語版:http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/10460-2013-04-25-08-47-54
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)