チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2013年3月2日

映画チベットの少年「オロ」 ダラムサラ上映会

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DSC_0990岩佐監督のチベットもの第三弾「オロ」を日本で観られた方も多いかと思われる。この映画は日本以外ではまだ上映されたことがなかったが、今回海外で初めて、映画撮影地でもあるこのダラムサラで2回上映された。2月28日には上ダラムサラTCVスクールでTCVの生徒と職員のために、また3月1日にはマクロードガンジのTCVデイスクールで一般人のために上映された。2回とも、会場は一杯となり、観客の反応も上々で、大成功の上映会。監督さんも顔がゆるみ通しであった。

DSC_0980監督さんたち一行は、ダラムサラに来る前に冬休みをネパールで過ごしていた主人公のオロに会うためにまずネパールのカトマンドゥに飛び、オロを拾って、もう1つの撮影地であるポカラを経由して、そこからなんと3日間車で走り通してダラムサラに26日の午後到着されたのである。若くない監督さんと奥様は大変だっとと思われるが、ボランチのくうくう殿がとにかく嘗ての楽しかったオロとの旅行を再体験するためにどうしてもこのコースをもう一度辿りたかったようである。

197355_544024595620245_1172612371_nオロと友達のチュギェル(私は肝心なオロの写真を撮ってなかったので、この写真は田嶋さんから頂いた。チュギェルは田嶋さんがスポンサーしてる子供)

到着して次の日にTCVに行き、上映会の要望を伝え、次の日にはもう上映となった。あいにく全校生徒を収容できる大ホールは他の行事で使えないということで、小ホールでの上映となった。収容人数が限られるというので、観客は高校一年生と職員だけとなった。映画の主人公であるオロを始めニマ少年、ラモ・ツォの2人の娘であるダドゥンとラモも残念ながら観ることができなかった。もっとも、映画に出てる彼らは実は恥かしがってみんなと一緒に観たいとは思わなかったようではあるが。

DSC_0944上映が始まる前に岩佐監督が「とにかく私はチベットが大好きなのだ、、、チベット人と日本人は似ているところが多く、でも違っている部分もあって、、、」とかいう短い挨拶をされた。そして、学校側からカタと記念品を頂いた。

DSC_0965カタと記念品を受け取る左から岩佐監督、くうくうさん、監督の奥さんの靄子さん、田嶋朗子さん。

この記念品とはコーヒーカップであったが、このコーヒーカップは超特別な品物であったのだ。実はこのカップの素材である土はチベットから運ばれて来たものなのだという。この1人のチベット人アーティストが「チベットから運んだ20トンの土」についてはこのブログで詳しく報告したことがある>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51709096.html
この土の使い道を考えて、その一部をカップを焼く土にしたというのである。グッドアイデア!である。

DSC_0982で、上映が始まったが、とにかく特徴的だったのは、女子生徒を中心に最初から終わりまで、キャーキャーと笑い声が途絶えなかったことだ。こちらもつられて何度も笑ってしまった。「箸が転んでもおかしい」年齢ではあるが、確かにチベット語で聞いていると笑えるシーンは多かった。

DSC_0984退場する靄子さんたち。

上映後に何人かの生徒に感想をきいたが、みんな「ぺーヤポドゥ!(すごく良かった)」と答えた。先生方には事前に感想を書いてもらうために紙が配られていた。その感想はどれも「非常に良かった」であり、「チベット内地の現状と難民の現状を正しく伝えて下さり、本当にありがとうございます。感謝します」というものであった。ことばだけでなく、校長さんはじめ先生方は顔色からして本当に良かったと感じてくれたようだった。

DSC_1006次の日には街中にあるTCVの分校で一般人用上映会を行った。前もってちゃんと宣伝していなかったが、街の福祉事務所がその日マイクで街の人々に呼びかけてくれた。スタッフがパンフレットを道行く人に配ったりもした。どれほど、集まるか少し不安であったが、会場はほぼ一杯になった。

DSC_1019同じく、上映の前に監督が「私はチベットが大好きで、、、最近の日本人はボ~~としているが、、、私はオロと同じ10歳の時終戦を迎え、、、」というような話をされた。この会場でも笑い声は何度も上がったが前日ほどではなかった。中には涙を流す人も見受けられた。

DSC_1024上映後、監督の下に駆け寄り、「素晴らしかった」と声をかける人が大勢いた。特に外人さんが沢山寄って来て監督と話をしたがっていた。チベット人のおじいさんから「本当に良い映画だった。チベットものの映画は大体過激で直接的なものが多いが、このようにソフトに間接的にチベットの現状を知らせるというのは本当にいいことだ」という感想を聞いたとき、監督は「これこそ私が狙ったものだ!」と大喜びされた。

DSC_1032上映後、もちろんチベット人も監督の下に駆け寄った。その中で特に、映画を激賛し、またかわいい子であったが故に、私に監督がツゥーショットを要求したというのが左の写真。

オロ公式HP>http://www.olo-tibet.com

3月10日にはニューヨークのチベットハウスでも「オロ」が上映される。

いや~、チベット人たちも絶賛したという、なかなか良い映画なので、まだご覧になってない方はDVDを買って観て下さい。DVD購入は>http://www.amazon.co.jp/オロ-DVD-岩佐寿弥/dp/B00AJG8QM4から。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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