チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2013年1月30日

ラサ3大僧院とジョカンの僧院長を含む高僧15人が行方不明

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photoガンデン僧院

ラサの3大僧院であるデブン、セラ、ガンデンとジョカン(ツクラカン)の高僧たちが当局により連れて行かれた後、2週間以上も行方不明のままという。

当局は1月14日に、会議を行うので集まれと言って3大僧院とジョカン寺の高僧、教師合わせて15人を連行した。連行されのはデブン僧院僧院長のジャンペル・ラクサム、唱導師ンガワン、教師ンガワン・ドゥンデン、教師ンガワン・ペルサン、教師ンガワン・サムテン、セラ僧院の戒律師ミクマル、唱導師(指名不明)、教師サムテン、教師ンガワン・ロトゥ、教師タシ・ギャンツェン、ガンデン僧院の教師カルデン、教師ロプサン・ンゴドゥプ、ジョカン(ツクラカン)寺の教師フンドゥップ・ヤーペル、教師ツェテン・ドルジェ、教師ンガワン・ロペルである。

その後、ナクチュ地区の僧院や村で愛国再教育を行うために彼らが連れていかれたという話が伝わっているというが、これも確認されたわけではなく、その後現在まで行方は分からないままとなっている。

3大僧院やジョカンの僧侶たちは行方不明となったまま帰らないこれら高僧の安否を非常に心配しているという。また、主な教師たちがいなくなったことにより、授業や討論を行うことができなくなり、僧院の勉強が滞っているともいう。

僧侶たちは2008年に多くの高僧や教師が連行されたときのことを思い出し、今回も当局は宗教弾圧の一環として彼らを拘束したのではないかと噂している。

参照:29日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/news-lhasa-tibet-01292013121513.html
29日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7253
30日付けphayul http://www.phayul.com/news/article.aspx?id=32947&article=Senior+monks+of+Sera%2c+Drepung%2c+Ganden+disappeared

特に何も事件のようなものがない時に、このように大勢の高僧が拘束されるという理由が分からない。強いて上げるとすれば、最近チベット自治区では共産党の全体会議が開かれていて、自治区主席に嘗て長年ラサ市長や自治区副主席もやっていたロプサン・ギェルツェンが就任したこと、とか7世レティン・リンポチェがチベット自治区政治協商会議のメンバーに選ばれたこと、と関係があるのか?重要会議中の人質としたのか?或はロサ(チベット正月)前の嫌がらせか?

MAIN201301291342000191699906466ロプサン・ギェルツェンは顔を見ても分かるが、悪である。就任演説においても「ダライ一味との闘いを強化せよ!」と連呼しており、強行路線維持を明確にしている。

チベット自治区の実質的なトップは彼ではなくもちろん漢人の共産党書記陳全国である。このトップにチベット人が選ばれたことは一度もない。これまで自治区主席であったペマ・ティンレーはもっと出世して人民代表大会常務委主任になったそうだ。北京に行くのかも知れない。

また、カルマパがインドに亡命した後、慌てて国内に残る超高僧の1人として中国政府が認定した7世レティン・リンポチェは28日に、16歳にして最年少のチベット自治区政治協商会議のメンバーに選ばれたという。偽パンチェン・リンポチェと共にチベットの宗教界に中国が操れる存在として、政治的影響を強めるために選ばれたのであろうと思われる。

本当にチベット人たちに尊敬され影響力のある高僧たちは隠され、きっと再教育を受け、その代わりに飼いならし、若くて容易く操れる、チベット人たちが偽リンポチェと呼ぶ者たちを全面に押し出そうということであろう。

この部分参考:29日付け共産党新聞http://renshi.people.com.cn/n/2013/0129/c139617-20362376.html
28日付け中国日報http://www.chinadaily.com.cn/dfpd/shehui/2013-01/28/content_16180283.htm

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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