チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年1月23日
続報:葬儀が許されなければ役場の前で葬儀を行うぞ と村人たち
昨日、1月22日の正午頃、甘粛省甘南州サンチュ県ボラ郷のボラ僧院内で焼身したクンチョク・キャプは生死不明のまま、当局に運び去られたが、その後死亡が確認されている。内地焼身者101人の内、死亡確認84人目。
事件の後にボラ郷には軍隊が投入され、その上、サンチュから役人や特殊警察が大勢押し掛け、非常に緊張しているという。そんな中でも、昨日の夕方には彼の遺体を取り返そうと、地区の村々から大勢のチベット人がボラ郷の役場の前に集まった。出て来た役人は「遺体はここにはない、もうサンチュに送った」と言い、その上「葬儀をするために、遺族の下に誰も集まってはならない。僧侶一人も行ってはならない」と命令したという。
これを聞いて、集まったチベット人たちは、「もしも、遺族の下に誰も弔問に行ってはならないと言うならば、明日役場の前にもっと沢山の人を呼んで、みんなマニコロ(手持ちの小さなマニ車)を持って、そこに座り込んで葬儀を行うぞ」と答え、回りの村々の人々を呼んでいるところという。
その後どうなったかはまだ情報が入っていない。
彼の年齢は昨日の時点では23歳と伝えられていたが、今日になり26歳になったばかりと確認された。彼は妻の家に養子として入っていた。地元の人々の話によれば、彼は無口で控えめな性格だったという。家族の仕事を中心となってこなし、良き青年と思われていた。残された10ヶ月になる子供は男の子という。
参照:22日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7227
22日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/Kunchuk-kyab-self-immolation-01222013092702.html
同英語版http://www.rfa.org/english/news/tibet/burning-01222013130828.html
23日付けphayulhttp://www.phayul.com/news/article.aspx?id=32898&article=Tibetans+challenge+China’s+dictat%2c+To+hold+public+prayer+service+for+self-immolator
残された妻と現在10ヶ月と言われる息子。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)