チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年12月20日
証言:吊り下げられ殴られ、小便を飲むしかないチベット人政治犯
最近、ラサ・チュシュル刑務所(ཆུ་ཤུལ་བཙོན་ཁང་)を出所した1人のチベット人がRFAに対し、刑務所での政治犯の状況を証言した。彼によれば、チュシュル刑務所には現在約200人のチベット人政治犯が収監されており、全員が飲み食いを含めた拷問の苦しみに喘いでいるという。
2009年始めに収監され、最近解放されたという彼の話によれば、「チュシュル刑務所ではチベット人政治犯に対し、手足を縛り吊り下げて暴力を加える等の拷問が日常的に行われている」という。また「食事は定期的に与えられず、砂が混じっている。飲み水が長い間与えられないことも多く、囚人の中には喉の乾きに耐えきれず、自分の小便を飲む者も多い」という。
「度重なる拷問により、政治犯の90%は目に何らかの障害を負っている。拷問は常に傷が残らないような方法で行なわれる」という。
「刑期が決まった後でも尋問が毎日のように行われ、背後で糸を引いてるものは誰かと質問される。また『ダライ・ラマを信じても何も利益はない、利益を与えてくれるのは共産党だ』と言うことを強要される。チベット人には人権は全く無い。宗教の自由もない」と話す。
彼はまた、現在チュシュル刑務所に囚われている他のチベット人政治犯20人以上の名前を知らせ、彼らの状況を詳しく伝えた。
参照:17日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/prisonintibet-12172012144952.html
19日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/pilitical-prisoner-in-tibet-12192012144942.html
18日VOT放送分http://www.vot.org/?page_id=24
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)