チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年12月5日
胸にナイフを刺し中国に抗議
先月、北京で「十八党大会」開催期間中、甘粛省甘南チベット族自治州ツゥ(合作)で1人のチベット人が自分の胸にナイフを突き刺し、その血で学校の壁に「チベット独立。ダライ・ラマ法王のチベット帰還を」と書き、その後さらに胸を刺し死亡した。(RFAは死亡、Tibet Timesは生死不明と)
チベット人男性の名前はジグメ・ツェテン(འཇིགས་མེད་ཚེ་བརྟན་)、30歳。場所はツゥ市カギャトゥ郷にある学校の前。報告者によれば、「十八党大会」開催中には至る所に警察や保安員がいて、警戒が厳しく、ネットも全て遮断されていたので、すぐに外に知らせることができなかったとのこと。
現場にはすぐに保安員が駆けつけ、彼を運び去り、壁に血で書かれていた文字を消した。そして、事実を隠すために「彼は酒に酔って自分を傷つけたのだ」ということにしたという。
ジグメ・ツェテンはツゥ市カギャトゥ郷チュナク村(གཙོས་གྲོང་ཁྱེར་ཁ་གྱ་སྟོད་ཞང་ཆུ་ནག་སྡེ་བ་)の出身。父はすでに亡くなっており、母と妻、2人の子供がいる。
さらに、報告者の話によれば、ケンロ(甘南)では最近、焼身者の情報や写真を流したとして多くのチベット人が拘束されているという。
参照:4日付けRFA英語版http://www.rfa.org/english/news/tibet/blood-12042012162826.html
同チベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/kagya-jigmey-tseten-12042012102513.html
4日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7018
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)