チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年12月1日
<速報>ンガバ、ゾゲで今日(30日)も焼身 2児の父
11月30日、現地時間午前9時頃、アムド、ンガバ州ゾゲ県シャクドム郷(ཨ་མདོ་རྔ་པ་བཞག་ལྡོམ་)で、クンチョク・キャプ(དཀོན་མཆོག་སྐྱབས་)、29歳が中国政府のチベット人弾圧に抗議するために焼身。駆けつけた警官に連れ去られ生死不明。
ダラムサラ・キルティ僧院の内地情報係り僧ロプサン・イシェと僧カニャク・ツェリンが伝えるところによれば、クンチョク・キャプはシャクドム郷から10キロほど離れたガソリンスタンドで焼身した。(別の情報によれば、彼は遊牧地区からこのガソリンスタンドに下りて来て、焼身するためにガソリンを買い、そのままそこで焼身したという)
直ぐに地区の警官が駆けつけ、彼をンガバ州の州都であるバルカムに連れて行った。これを見た、チベット人の若者数人が警察車両の後を付けて行ったが、彼らも行方不明になったという。
現在(インド時間午後7時)チベット人たちが大勢集まり、焼身したクンチョク・キャプと若者を取り戻さねばならないということでバルカムに集まり、緊張が高まっているという。
クンチョク・キャプはンガバ州ゾゲ県アキ郷上ザル遊牧民地区(མཛོད་དགེ་རྫོང་ཨ་སྐྱིད་ཞང་གཟའ་རུ་སྟོད་མ་)の出身。父の名はプンツォク、母の名はロプサン・ドルマ。結婚しており、子供が2人いる。妻の名はペマ・キ、上の子は9歳、下の子は6歳と。
内地焼身92人目、今月28人目。
参照:30日付けTibet Timesチベット語版
http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6988
30日付けphayulhttp://www.phayul.com/news/article.aspx?id=32583&article=Breaking%3a+Tibet+self-immolation+toll+reaches+90%2c+Fears+over+major+protests+in+Barkham
追記(12月2日):ダラムサラ・キルティ僧院の僧カニャク・ツェリンによれば、クンチョク・キャプは12月1日の夕方、バルカムの病院で死亡した。遺体は家族に引き渡されることなく、家族には僅かな遺灰が渡されただけという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)