チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年11月30日
ラサのジョオ像の前で「苦しみの中にあるチベット人を救いたまえ!」と祈ったカンパが逮捕される
RFAに内地から寄せられた報告によれば、今月27日にラサのジョカン(大昭寺)のジョオ(主尊である釈迦牟尼像)の前で、法王の長寿とチベットが救われますようにと祈ったチベット人が連行され、その後行方不明になったという。
今日はペーラモというチベットの祝日で、この日には女性に何かプレゼントをするという習慣があるという。詳しいことは知らないが、とにかく女性を大事にしないと女性に怒られるという日らしい。
で、ラサではこの日に向かい、いつもなら巡礼者が増えジョカン辺りは賑わうという。ただ、今年はこの日に掛け当局の警戒が一段と厳しくなり、ジョカンを訪れる人も少ないそうだ。
そんな中、11月27日の午後4時半頃、1人の50代と思われる、如何にも強そうなカンパ(カム出身の男性)がジョオ像の前に来て、回りの人みんながびっくりするような大きな声で「ダライ・ラマ法王に長寿を!チベット人はチベットの中で自由もなく、永きに渡り苦しみに喘いでいる。三宝よ我らを救いたまえ!」と叫んだ。
すると、直ちに、回りにいた私服警官が彼に飛びかかり、取り押さえ、どこかへ連行した。その後、彼の消息は途絶えたままだという。
その他、その日には他にも拘束されたチベット人がいたと報告者は伝える。
参照:29日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/tibetanprotest-11292012155911.html
大きな声を出して祈ると逮捕されるということだ。他のチベット人たちの祈りも似たようなものであろうが、普通のチベット人たちは心の中で祈るだけ(本心を口に出して言えば逮捕されると分かってる)。彼は身体も大きかったようで、大声になってしまったようだ。今頃、しこたま痛い目に遭っているであろう。無事を祈る。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)