チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年11月29日
<速報>今日:ルチュで8日間に3人目の焼身 2児の父 内地91人目 死亡確認77人目
ツェリン・ナムギェル生前の写真
今日11月29日、現地時間午後2時頃、アムド、ルチュ・ゾン(甘粛省甘南チベット族自治州碌曲県)サムツァ郷(ཀླུ་ཆུ་རྫོང་ཟམ་ཚ་ཞང་)の役場の前でツェリン・ナムギェル(ཚེ་རིང་རྣམ་རྒྱལ་又はツェリン・タシཚེ་རིང་བཀྲ་ཤིས་)、31歳が中国政府のチベット弾圧に抗議する印として焼身し、その場で死亡した。
遺体は集まったチベット人たちにより家族の下に届けられ、現在ドンシク僧院とモクル僧院の僧侶たちが法要を行っている。地区のチベット人たちも大勢集まっているという。
ツェリン・ナムギェルはルチュ・ゾン、サムツァ郷ロツォ村(ཟམ་ཚ་ཞང་ལོ་ཚོ་སྡེ་བ་)の出身。父の名はチュロ、母の名はタムディン・ツォ。彼は結婚し2人の娘がいた。妻の名前はチュキョン・ツォ、7歳になる長女の名はドルジェ・キ、3歳になる次女の名はケルサン・ドルマ。
ルチュ県ではこのところ焼身が続いている。11月22日にタムディン・キャプ(23)が、11月26日にゴンポ・ツェリン(24)が焼身し何れも亡くなっている。
焼身の後、地域には大勢の部隊が配備され厳重な警戒が行われているが、この厳しい警戒、規制が更なる焼身の引き金になるという場合も多いと思われる。
参照:29日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6981
29日付けphayulhttp://www.phayul.com/news/article.aspx?id=32559&article=Breaking%3a+Tibetan+man+burns+self+to+death%2c+Toll+climbs+to+89
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)