チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年11月29日
<速報>昨夜、ツゥ(ツォエ)で若者が焼身、死亡 内地90人目
昨日11月28日現地時間午後7時頃、アムド、ツゥ(གཙོས་ツォエ、甘粛省甘南チベット族自治州合作市)の街中でチベット人、ワンデ・カル(བན་དེ་མཁར་)、21歳、が中国政府のチベット圧政に抗議する焼身を行い、死亡した。
彼は焼身しながら、「ダライ・ラマ法王をチベットへ!パンチェン・リンポチェを開放せよ!チベットには自由が必要だ!言語と宗教の自由を!環境保護を!」と叫んだという。
遺体は家族の下に運ばれ、今日朝から、地元の僧侶、俗人が集まり法要が行われている。村には部隊も出動し、厳重な警戒が行われ、電話も切断されており、詳細は伝わっていないという。
ワンデ・カルはツゥ市に編入されたゾゲ(མཛོད་དགེ་)地区カンツァ郷ヤルキソク村(གཙོས་གྲོང་ཁྱེར་གྱི་ཁོངས་སུ་ཆ་བགྲོས་བྱས་ཡོད་པའི། མདོ་སྨད་མཛོད་དགེ་ཤོག་པ་ལྔའི་ནང་ཚན་རྐང་ཚའི་ཡར་ཀི་སོག་སྡེ་)の出身。父の名はツェリン・タル、母の名前はクンサン・ドルマ。彼には2人の兄弟がいる。
彼は村から20キロほど離れたツゥに出て来て、焼身した。ヤルキソク村は現在は甘粛省のツゥ市に含まれているが歴史的には隣の四川省ンガバ州ゾゲに含まれていた。
内地焼身90人目(亡命政府発表88人目)、死亡確認76人目(亡命政府発表74人目)。
参照:29日付Tibet Times チベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6982
29日付phayulhttp://www.phayul.com/news/article.aspx?id=32560&article=Breaking%3A+Young+Tibetan+burns+self+to+death%2C+Mass+prayer+service+for+self-immolators+in+eastern+Tibet
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)