チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年10月26日
<速報>今日、再び焼身 サンチュ県で1週間に4人目 内地61人目 死亡51人目
現地時間午後2時半頃、アムド、サンチュ(མདོ་སྨད་བསང་ཆུ་རྫོང་甘粛省甘南チベット族自治州夏河県)アチョク郷(ཨ་མཆོག་阿木去乎郷)でチベット人の若者が中国政府に抗議する焼身を行い、その場で死亡した。
若者の名前はラモ・ツェテン(ལྷ་མོ་ཚེ་བརྟན་)、年齢24歳。焼身の場所は軍駐屯地と裁判所が並ぶ道の上。直ぐに大勢の軍人が現場に出動したが、回りにいたチベット人が遺体を確保し、家族の下に届けたという。
ラモ・ツェテンはアチョク郷ケ村の出身。父の名はツェリン(49)、母の名はズンドゥ・キ(50)。妻の名はツェリン・ラモ、2歳になるニンモ・キという女の子がいたという。
このアチョク郷は22日、23日と焼身が続いたサンチュの近くではなく、ツゥ(ツォエ合作)に近い。10月20日にラモ・キャップが焼身したボラ郷の隣である。彼が焼身した後、この辺りは警戒が厳重になっていた。
また、このアチョク郷では今年1月、1人のチベット人が警官に撃たれ死亡するという事件が起っている。事件の後、大勢のチベット人が派出所に押し掛け、抗議のデモを行った。詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51724075.html
その他、写真や詳細が伝わり次第追記する。
追記:VOAによれば、ラモ・ツェテンは焼身しながら「チベットに自由を!ダライ・ラマ法王をチベットに!」と叫んだという。遺体は街から15~20キロ離れた自宅に運ばれ、現在アチョク僧院の僧侶たちが自宅に駆けつけ追悼法要を行っているという。
また、アチョク郷には近くのボラ郷に待機していた大勢の部隊が押し掛け、厳重な警戒下におかれていると。
追記:RFAによれば、ラモ・ツェテンは倒れた後にも、両手を合わせスローガンを叫び続けたという。
参照:26日付けTibet Express チベット語版http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-35-27/9504-2012-10-26-09-07-07
26日付けTibet Net英語版http://tibet.net/2012/10/26/5th-tibetan-self-immolates-in-sangchu-county-amdo/?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
26日付けVOT中国語版http://www.vot.org/?p=17770
26日付けVOA英語版http://www.voatibetanenglish.com/content/article/1533881.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)