チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年8月30日
銅メダルのチュヤン・キがいじらしい件
今日は@uralungtaさんのコラムを本人の了承を得て転載。
チュヤン・キのことをまだよく知らないという人は>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51757493.html
[weiboより転載][ロンドン五輪競歩女子20km銅メダルのチベット人選手チュヤン・キの発言]
「どうかでたらめを書かないでください。ありがとうございます」※中国人の発言
『五輪陸上女子競歩20km競技で、チュヤン・キは銅メダルを獲った。トゥリナ(CCTVの有名モンゴル人女性陸上専門記者。北京、ロンドンと連続2コケで棄権した陸上スター選手・劉翔の擁護記事を書くことで有名。冬日娜)が彼女を取材した。「あなたはどうやってモチベーションを保ったの?」チュヤン・キ曰く「試合前、監督が私に言ったんです。ただひたすらゴールを目指してメダルを取れれば、家ももらえて、戸籍問題も解決できるって!」。。。。』
に対するコメント。(注: もちろんこの発言はツクリ、捏造。)切阳什姐:请不要乱写了。谢谢
20分钟前 来自iPhone客户端 | 举报@鱼和渔_ : 奥运会田径女子竞走20公里决赛中,切阳什姐摘铜,冬日娜采访她:你是怎么坚持跑下来的?切阳什姐说:出赛前,教练和俺说了,只要跑到终点,拿到名次,你的房子就有了,户口也可以解决了!。。。。
转发(1) | 评论 8月12日09:27 来自新浪微博中国人の発言は、既に名声も政治的地位も獲得してセレブになった劉翔が出場枠しながらコケて棄権して「実は故障していた」ことが後から発表されてメディアがバッシング防止の抑制報道をしたことについてあてこすると同時に、少数民族の抱える問題(貧困とか戸籍とか)も揶揄し、「いい成績を上げたから賞金も豪邸も手に入れて、他の少数民族の苦労はもう関係ないだろう」とツェヤン・キ選手を皮肉るもの。社会の一端を突いてちょっと気のきいたブラックジョークを書きこんだつもりなのだろうけど、スポーツの分野で自分の可能性をひたすら目指した牧畜家庭出身の女の子に、言ってもいないでっちあげコメントを捏造するのはかわいそう過ぎる。
それに対して、チュヤン・キは反発も怒りもあるだろうに、しごく丁寧な口調で「どうかいいかげんなことを書かないで、ありがとう」と懇願口調。ロンドン五輪から戻って以来、家をもらった、賞金をもらった、称号をもらったと書かれ続け、同時にたくさんの中傷ややっかみもウェイボーにあふれかえっているなかで、これが最初の中傷に対する反応。我慢していることも多いに違いないのに、と、もう断然ずっと味方するわ、もう。
追記するならチュヤン・キ嬢、ロンドンから帰国後、ウェイボーのアイコン写真をチベット服を着たものに替え、チベット語の書き込みも増えた。
8月22日には「実家に帰る。お父さん、故郷の皆さんありがとう」と書きこみ、「回老家了。信号不好所以没有办法联系大家了。(電波が悪くなるのでこれからしばらく連絡とれません)」(8月23日9:40)と断り、その数時間後には「我真的真的真的很想哭。家里待了一天既然又让我回去。为什么? (わたし本当に本当に本当に泣きたい。実家に帰って1日、突然戻らなければいけなくなった。どうして?)」(8月23日13:41)「谢谢你们。我不是回去训练。是有事情。只是在老家待了一天有点难受。哈哈哈 (皆さんありがとう。練習に戻るのではありません。事情ができたのです。実家にたった1日しか滞在できないことだけが悲しかったのです。ははは)」(8月23日13:56)と書きこんで26日には北京に着いている。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)