チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年7月22日
スコットランド北部旅行記前半
今日は日曜日でチベット系各メディアもお休み。特に大きなニュースも入っていないようなので、旅行の話を続ける。今回の旅行の後半はスコットランド。次女ニマが学生として住み着いているエディンバラを発ってスコットランドの北、ネス湖があるハイランドと呼ばれる地域を抜け、スカイ島とルイス島を巡った。
地図の右下の方にエディンバラがある。ブルーでマークされている現地点がルイス島。紫でマークされているインバネス(Inverness)には私たちが行く2週間ほど前にダライ・ラマ法王が訪問されている。恐竜で有名なネス湖はこのインバネス(ネス湖の河口という意味)から南西に長く延びる地溝帯にできた湖だ。
日本人があまり行かない地域と思われるので多めの写真で紹介する。全体にはとにかく「なんだかチベットに似てる」という印象だった。
ルイス島にある4、5千年前に造られたというストーンヘッジ風の石林を最終目的地として走った。ブルーの地点はそこである。ルイス島は北緯58度。カムチャッカ半島の北部と変わらない。一日が非常に長く、暗くなるのは夜11時過ぎであった。
気に入った写真があれば、クリック拡大してくれ。
出発地点であるスコットランドの古都エディンバラ。イギリスでは今週27日からオリンピックが始まる。ここにも大きなオリンピックマークが立っていた。その前に立つのはエディンバラ大学獣医科を卒業するはずだったニマ。ダラムサラ生まれ、TCV出である。
エディンバラはUKでは一押しのいい街。行ったことがない人は是非夏に訪れる事を勧める。
スコットランドで有名なのはウイスキーとこのバブパイプ隊。何度聞いても変な音だし、何で寒いスコットランドでスカートなの?と思ってしまう。
エディンバラを朝出発し、順調に北に向かって疾走していた、この黄色いニマのミニ・フィアット。ネス湖を前にした田舎道で突然、クラッチがカタンという音と共に脱落。小雨の中レスキューを待つこと2時間。大きなトラックが来る。その場で直してくれるのかと思いきや、レスキューは近くのガレージ(修理工場)に運ぶだけが仕事とのこと。一時間ほど離れた小さな港町であるファートウイリアムという所のガレージに運ばれるが、すでに5時を過ぎておりガレージは閉まってた。「どうするの?」と運んでくれたおじさんに聞くと「明日まで待つしかないだろ」と。
フォートウイリアムの町。
小さな町でホテルなどありそうにないと思っていたが、町の裏手にベンネヴィスと呼ばれるイギリスで一番標高が高い山があるというので、案外ホテルは多かった。その山の高さはなんと1344m!
ユースを見つけたが、これが一杯。そこで紹介して貰った民宿のような所で部屋が見つかった。部屋にトイレ・シャワーがないのに50ポンド。イギリスは高いわ。(数年前には1ポンド250円という時もあったが、今は1ポンド=約125円)
次の日の朝、荷物を持ってガレージに行ってみる。「クラッチケーブルが切れただけだから、部品が届けばすぐ修理できる。部品は午後3時ごろ着くはずだ。そのころまた来てくれ」とのこと。うう、なんでそんなに掛かるの?と思ったが、仕方なく町に戻る。この町とガレージが1マイルほど離れてて移動が面倒なのだ。
町でネットが通じるパブを見つけ、私はブログのアップに精を出す。ネットさえ通じればどこでもいくらでも時間は潰せるのだ。
再び3時過ぎにガレージに行くと「部品はまだ届いてない。今日はもう来ないそうだ。明日11時に来てくれ」。日程に余裕があまりない私は、「はあ!ここはインドか!考えられねえ!どうにかしろ!こんな何もない田舎町にもう一泊しろってえのか!」と、声が久しぶりに荒立つ。が、太り目の事務の女性の反応は鈍い。どうしようもない。「ニマ、イギリスは日本とは違うな~」と仕方なく、チェックアウトしたはずの宿に戻る。
ルリビタキの幼鳥に似る小鳥。
仕方なく、辺りを散策中に見つけた。
夕方パブに入ると、ちょうどサッカーのヨーロッパ決勝戦「スペイン対イタリア」をやっていた。その観戦熱気のすごいこと。自国が対戦してるわけでもないのに、これほどだ。日本とは違うと思った。
結局部品は翌々日の昼頃届き、昼食後その町を脱出することができた。
こんなちゃっちくて可愛い恐竜親子がいました。
ネス湖の湖面を長い間凝視するも、残念ながらこの時ネッシーは現れず。
ネス湖はイギリス最大の淡水湖で幅2km、長さ35km。最大水深230mとのこと。ほんとに長~い湖。もっともこのような長~い湖はこの辺いたる所にあった。
針葉樹の森と湖が続く美しい光景が続く。
お花畑にたたずむ「ハイランド牛」。この毛が非常に長く、目が見えないだろうと思えるぐらい前に垂れている、角の鋭い変わった牛はこの辺りが原産という「ハイランド牛」。大型で寒さに強いそうだ。ヤーのスコットランド版といったところ。性格も普通の牛よりはよほど荒いそうだが、見た目は可愛い。
長い橋を渡り本土を離れスカイ島に入る。入り江に中世のお城が建っていた。
スカイ島の北のウィグと言う港町付近の丘の上から、北の海を眺める。
このウィグという港から目的のルイス島行きのフェリーが出る。夕方8時頃ここに到着。
最初に目についたユースの看板に従い道を登って、丘の上のユースホステルに着く。1人18ポンドという。ドミの一部屋を占領する場合は1人22ポンドと言う事だったので、2人で一部屋占領することにした。
フェリーは次の日の午後1時しかないという。次の日、朝このスカイ島を巡り、1時のフェリーでルイス島に渡ることにした。
一気に終わらせようとしたが、すでに長くなったので、ここで一旦休憩とする。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)