チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2012年5月30日

カム旅行記 その5 タウ前編

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_DSC4881明朝ラガンの町を出て、タウ(道孚)に向かう。行程3時間ほどのはずなのでのんびり出発。バスはないので乗り合いミニバン、1人50元で行く事にするが、人がなかなか集まらず1時間ほど待った。

一旦高原上の峠を越えた後、道はどんどん谷間に向かって高度を下げて行く。一時間ほどでガンタル(八美、3420m)の町に着く。

写真はガンタル手前の何カ所かで見かけた「石林」、浸食された石灰岩が露出しているのかな?と思われた。

_DSC4882ガンタルの町の手前にある「チュテン林」。この先、ちょっとした町には必ず大きめのチュテンが少なくとも1塔はあった。

_DSC4885ガンタルの街中。ここはロンダク方面への道が分岐する地点でもある。ラガンから乗って来たミニバンの運ちゃんが他のミニバンに乗り換えろという。ここまでの分、20元を払って乗り換えることになった。

_DSC4923タウの町。

ガンタルから河沿いの道を徐々にさらに下ると、両側の山には針葉樹の森が広がり始める。しかし、伐採した後に植林したか、自然に生えたものが多いらしく、樹齢数十年と思われる小木が多かった。

ガンタルからさらに2時間ほどしてタウの街に着く。ミニバンのたまり場近くで宿を探す。最初に入ったところはしょぼい安宿だった。1泊1人15元とのこと。安い!部屋はベニヤばりで共同トイレ、シャワーはない。だが、案内してくれた高校生と思われる宿のチベ娘はやたら可愛かった。若いのに「どうする?ここでもいいかいな?」と聞くと「俺はいいけど、、、」という。「部屋はこんなだけど娘は可愛いよな、」と、泊まることにした。

もっとも、次の日、私は2カ所だけ「南京虫」にやられたことに気づいた。

_DSC5004街に出ると早速、武装警官の隊列が街角に消えて行くのを目撃。わざわざ大きな足音を響かせながら、盾と拳銃を持って、「お!お!お!」と変な掛け声を上げながら歩いていた。カメラを構える前に角を曲がって消えてしまった。

そう、この街では去年2人のチベット人が焼身抗議を行っている。大きなデモは最近ないが、タウの町の人々は法王の誕生日を一斉に祝したりと、中国に対する反抗心が強いことで有名だ。それで警戒が厳しいというか、脅しが盛んなのであろう。

僧ツェワン・ノルブと尼僧パルデン・チュツォが壮絶な焼身を行ったのもこの辺りと思われる。

_DSC4904街の北側の丘に広がる大きなニンツォ・ゴンパ。

2人とも焼身した後、すぐにチベット人たちが遺体をこの僧院に運び込んだ。
「僧ツェワン・ノルブの焼身」参照過去ブログ>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51693249.html

「尼僧パルデン・チュツォの焼身」http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51714359.html
2人とも焼身の映像が発表されている。特に尼僧パルデン・チュツォの、大きな炎に包まれながら不動の姿勢を保つ、その壮絶な焼身の姿は世界中を震撼させた。

_DSC4909ニンツォ・ゴンパ本堂内部。

ここに2人の遺体は運び込まれ、追悼会が行われた。当局の脅しにも関わらず、2人の勇者を偲ぶために1万人とも言われるチベット人がこの僧院に集まったと言われている。

_DSC49252人が荼毘に付されたとされるゴンパの裏山には、荼毘台の後ろに巨大なタルチョの山ができていた。

不謹慎にもその台にのって手を広げる若いの。若いのが写ってない写真がなかったので仕方なくこれを掲載。

私は些々やかな供養の印に、チベット語の般若心経を3回唱える。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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