チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年4月21日
デルゲで次々村が襲われ連行・拷問 中央政府から発砲許可が出たと
中国当局がチベットの村々を急襲し、政治的活動に参加した疑いのある者を、何の令状も提示する事なく暴力的に拘束・逮捕するという話は、至る所で起っている。去年の末にはそのような村急襲の様子が映し出された映像が亡命側に伝わっている>>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/2011-12.html?p=2#20111208
拘束されたほぼすべてのチベット人たちが、尋問中激しい拷問を受ける事も証言を通じ明らかになっている。恐怖による統治を基本とする中国共産党にとって、拷問は必須の手段なのだ。
最近抗議デモや焼身抗議が頻繁に発生するカンゼ州から、再びこのような村急襲、拘束、拷問の知らせが入った。「中央政府が政治的活動を行う者に対する銃撃許可を与えた」と役人たちはいう。
以下、18日付けRFA英語版より。http://www.rfa.org/english/news/tibet/dege-04182012171217.html
村急襲連行
4月15日、カンゼ州デルゲ・ゾン(徳格県)ザトゥ郷ドダ村に武装警官隊等約300人が現れ、村を包囲した後、各民家に押し入り、15人の若者を連行した。「彼らはチベット独立を求めるポスターを張り出し、チラシを撒いたという容疑で拘束されたらしい」と現地のチベット人は報告する。その中には最近3年の刑期を終え解放されたばかりのタギェルという名の僧侶も含まれていた。
「ナムサ・サンモという年配の女性が乱暴なことをしないよう懇願したが、警官は彼女に襲いかかり腕を折った」。
拘束された者の内、氏名が判明しているのは:イェシェ・チュギェル、ワンチェン、ワンドゥ、ロプサン・ツェワン、イェシェ・ジュンネ、タギェル、テンジン・ツンドゥ、テンギェル、ユンテン、及びテンジン・ツェリン。彼らが正式に逮捕されたのか、単に尋問のために拘束されたのかは不明。
拷問
現地からの報告によれば、同じザトゥ郷から最近20人のチベット人が連行されたという。「彼らは何日間も拘束され、激しい拷問を受けた後、解放された」。
この件とは別に、他の匿名希望の報告者によると3月15日にもザトゥ郷レパ村の近くで8人が拘束された。「反政府活動を行ったとして彼らは連行され、拷問等を受けた」。
集会
報告によれば、当局はザトゥ郷の住民を集め「愛国再教育キャンペーン」を行っている。集会では、「新たなデモを行った時には発砲するぞ」と脅される。
役人たちは「かつては住民が政治的活動を行った場合、警官や武装警官は拘束することだけを命令されていた。しかし、今は、中央政府がそのような活動をおこなった者たちは誰でも、銃撃していいという許可を出したのだ」という。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)