チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年3月31日
<速報>今日 再びンガバで2人の僧侶が焼身
僧テンパ・タルギェ
以下、ダラムサラ・キルティ僧院リリースより。
3月30日、現地時間12時半頃、ンガバ州の州庁所在地であるバルカム市内རྔ་པ་ཁུལ་འབར་ཁམས་རྫོང་でツォドゥン・キルティ僧院(ཚོ་བདུན་ཀིརྟི་དགོན་པ་)僧侶2人がチベット人を抹殺しようとする中国政府の弾圧政策に対する抗議の声を上げた後、焼身を行った。
内1人は死亡したとの情報もあるが、武装警官隊により病院に運び込まれ現在生死不明。
1人は僧テンパ・ダルギェ(བསྟན་པ་དར་རྒྱས།)、22歳。ンガバ州バルカム県ギェルロン・ツォドゥン郷ショラツァン村レコ家(རྔ་པ་ཁུལ་འབར་ཁམས་རྫོང་རྒྱལ་རོང་ཚོ་བདུན་ཞང་ཥོ་ལ་ཅང་སྡེ་བའི་ལེ་སྐོ་ཚང་)、父ケルデン、母ペルツォの息子。
もう1人はチメ・パルデン(འཆི་མེད་དཔལ་ལྡན།)、21歳。同じくショラツァン村出身。イェテ家(ཥོ་ལ་ཅང་སྡེ་བའི་ཡེ་ཁྲེས་ཚང་)、父ラ・ラプギェ、母マチク・ツォの息子。
2人の焼身の報が入ると同時にツォドゥン・キルティ僧院の僧侶たちは3台の車に分乗し、死んでいるなら遺体を引き取るため、生きているなら僧院に連れて来る目的で現場に向かった。しかし、僧院から32キロのゼトゥという場所で武装警官隊などに行く手を阻まれたという。
僧テンパ・ダルギェは2003年から2009年までンガバ・キルティ僧院論理学クラスに在籍していたが、その後ツォドゥン・キルティ僧院に戻っていた。彼はクラスでもっとも優秀な僧侶として知られていた。兄弟姉妹4人の内最年小。
僧チメ・パルデンは2009年に数ヶ月間、ンガバ・キルティ僧院に在籍したことがあるが、すぐにツォドゥン僧院に戻った。
彼は2010年にラサに行ったとき、宿泊していた部屋を捜査され、携帯電話の中にダライ・ラマ法王の写真とチベット国旗があり、さらに有名歌手シェルテンが歌う「団結しよう」という歌が入っていたとして1ヶ月ほど拘留されたことがあるという。
ツォドゥン・キルティ僧院の正式名はギェルロン・ツォドゥン・キルティゴン・ゲデン・タシ・チュリン(རྒྱལ་རོང་ཚོ་བདུན་ཀིརྟི་དགོན་དགེ་ལྡན་བཀྲ་ཤིས་ཆོས་གླིང་)。ゲルロン地区で最大の僧院であり、現在300人ほどの僧侶が在籍する。バルカムから82キロの場所にある。
この焼身の後、バルカムでは厳戒態勢が引かれている。
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彼らは本土焼身者32人目と33人目である。
彼らが焼身を行ったときダラムサラでは26日にデリーで焼身したジャンペル・イシェ氏の葬儀が行われていた。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)