チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2012年3月27日

昨日デリーで焼身したジャンペル・イシェの遺書 日本語全訳

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Ao-cgL5CQAAMVPI追記(28日午後1時)誠に残念ながら、ジャンペル・イシェ氏は28日午前7時半に病院で亡くなられた。合掌。

昨日デリーで焼身したジャンペル・イシェの遺書と思われるものが発見された。彼の従兄弟であるツェリン・ロギャが発見し、デリーのTYCに手渡し公開された。

日付は3月16日となっている。少なくとも10日前には、焼身を決心していたことが分かる。

彼は焼身の前日、兄弟や友人に、理由は伝えず、金銭や身の回りの物品を譲り渡していた。

彼は依然危篤状態という。

以下、その日本語全訳。

314192_3541460492152_1141623238_5149672_945257064_n1)世界の平和の導師、ダライ・ラマ法王が千年万年の長寿を全うされますように。(法王を)チベット本土にお迎えすべきだ。骨肉と顔を同じくする同胞たちが集い、ポタラ宮殿の前でチベットの国歌を雷鳴の如く歌うことを願う。その日が必ず来ることを確信する。

2)同胞たちよ、将来の幸と繁栄を望むなら忠愛が必要だ。忠愛は民族の心の命だ。真理を求める勇気だ。将来の幸を導くものだ。同胞たちよ、世界の人々の平和平等を望むなら、忠愛という言葉を大事にすべきだ。義務に励むべきだ。忠愛とは真偽を区別する知恵だ。

3)自由は全ての有情の幸せと喜びの基だ。自由がなければ、それは風にさらされる灯明の如し。600万チベット人同胞の如し。3地域(ウツァン、カム、アムド)の同胞が一団となれば結果を得ることができよう。勇気を失うな。

4)私が今、話していることは600万チベット人の生存に関わることだ。民族の生死が掛かる今:財産を持つ者はそれを使う時。(知識等の)徳も持つ者はそれを発揮すべき緊急の時。命のある者はそれを投げ出すべき時と、私は思う。21世紀の今、宝の如し人の身を灯明と化すのは、チベット人600万の苦しみは人権・平等がないことだと世界の人々に知らせるためである。慈悲の心あるなら、慎ましいチベット人たちに注目してほしい。

5)我々にも先祖代々伝えられて来た仏法を守り、論理の書やチベット語を学ぶ自由が必要だ。世界の人々は平等であるべきだ。世界の人々よ、我々の後ろで立ち上がってほしい。チベットはチベット人のもの。プギェロー!(チベットに勝利を!)

2012年3月16日、タウのジャンペル・イシェが記す。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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