チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2012年2月21日

セルタで教師・生徒 拘束

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Serta 11先月デモ参加者に対する当局の発砲により死傷者が出た、ダンゴやセルタは電話等が遮断されたままなので、あれからどうなったのかを知ることができる情報はほとんど入っていない。そんな中、最近セルタの状況を伝える報告が亡命側に伝えられた。

その報告者は、1月24日のデモの際、当局の発砲により死亡したのはダワ・ダクパと氏名不明のもう1人だと伝え、以前に伝えられた情報が確認された。その他、重傷を負ったのはセルタ、チュトゥのラマ(高僧)とヌップセルのペマを含む4人という。

<チベット語普及に努める教師拘束>

また、その日(24日)の夜9時頃、アガン・ツルティム(ཨ་སྒང་ཚུལ་ཁྲིམས་)という学校教師が連行されたという。次の日には彼の自宅が家宅捜査されパソコンや写真、書籍等が押収された。

彼はンガバの出身であるが、セルタで長年教師をしていた。2008年、教え子たちと共に「来るべき母語の会」という会を作り、夏休み等には生徒を連れて遊牧民を尋ね、「文盲をなくす運動」を行っていた。また経済的な理由で学校へ行けない子供たちを集めてチベット語を教える活動も行っていた。

彼が拘束された後、セルタの地方ラジオ放送は彼の拘束を伝え、「アガン・ツルティムはダライ・ラマや亡命側の組織と関係を持ち、普段から違法な政治活動を行っていた」と報じた。

最近、彼の友人が食べ物を差し入れようと拘置所に行ったが、警官は差し入れも面会も許可しなかった。後に彼はダルツェドに送られたと言われるが、現在消息は途絶えたままという。

<学校や生徒への監視が強化>

さらにその報告者が言うには、最近は僧院だけでなく学校に対しても、その教科書や教師や生徒の言動に対し、当局は監視を強化しているという。生徒がチベット人である場合、彼らが母語擁護、民族意識向上等に関する話をした事が知れると、公安に呼び出されることもあるという。

最近セルタの街中の喫茶店で5人の学校生徒がお茶をしていた時、突然警官が入って来て、彼らの携帯の中に入っている写真をチェック、さらに彼らの首にダライ・ラマ法王の写真が入ったペンダントがあるのを見つけ、全員警察署に連行された。

先月の騒動があった後、セルタの街には5000人程の保安部隊が常駐し、至る所で、検問が行われている。商店も全て夜7時には店を閉めるよう強制されているという。

参照:21日付Tibet Times :http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=5602

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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