チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年11月27日
中印国境交渉無期延期:中国「ダライが出席する仏教会議を中止させろ。さもなくば行かない」!?
以下、中国の非常識外交を象徴するような出来事の報告。中国は外国からその人権状況等について批難されるとすぐに「内政干渉だ、黙れ!」と言うが、他の国に対しては露骨、時に滑稽な内政干渉を当たり前のように行う。
26日付phayul http://www.phayul.com/news/article.aspx?id=30421&article=India+puts+off+border+talks+with+China+over+Beijing’s+Dalai+Lama+remarks より。
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インドの主要テレビ局が伝えるところによれば、北京がダライ・ラマ法王が出席しスピーチを行う事になっている仏教会議を中止せよと要求したことを受け、インドは同時期に予定されていた重要な中国との国境決定交渉を無期限延期することを決定した。
NDTV(インドのテレビ局)の報道によれば、中国は来週インドの首都ニューデリーで行われる仏教会議においてダライ・ラマ法王がスピーチを行う事に抗議した。理由は同じ時期にインドと中国の会議が行われるからだと。
「中国側はこのイベント自体を中止せよと命令した」とNDTVは伝える。
インドと中国は来週の月曜日と火曜日に特別代表による第15回国境確定交渉を行うことを予定していた。
インド側はこの中国側の要求を「著しく良識に反する侮辱的な要求」と表現した。このような形で会議が延期されたのは今回が初めてだという。
中国側の特使戴秉国がインドの特使Shivshankar Menonと会談するためにデリーに来ることになっていた。前回の会議は北京で2010年11月に行われた。
ニューデリーではシャカムニ・ブッダ悟道2600年を記念し、27日から30日までの4日間世界仏教者集会が行われる。主催者によれば、世界32カ国から宗教、精神、政治指導者と共に、800人の学者、オブザーバーが集まる予定という。
ダライ・ラマ法王と17世ギャワ・カルマパがこの会議に招待され、法王は基調演説を行うことになっている。
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思うに、中国は最初から国境確定交渉をまじめに行う積もりがあったかどうか疑わしい。話し合いではなく、何れは力で解決する積もりなのではないかと疑う。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)