チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年11月25日
寒さと飢えに苦しむジェクンド(玉樹)の子供たち
写真、最初の1枚はTibet Timesより、その他はウーセル・ブログより。
25日付けTibet Timesチベット語版http://p.tl/nNxNより。
零下10度の寒さの中、カム、ジェクンド(ケグド、ユシュ、玉樹)の小、中学生たちはちゃんとした宿舎もなく、寒さと風に晒される生活をよぎなくされている。
23日付、中国のタワ(ལྟ་བ་見/意見?)ネットサイトによれば、カム、ジェクンドの気温は1ヶ月前から零下10度となり、辺りは凍り付いているという。この寒さの中、地震被災地の田舎の学校では、今も以前のような寄宿舎が建てられることもなく子供たちは暖房設備のないテントで暮らしている。十分暖かい服もなく、また食料も足りない状況だという。
最近、中国のソシアルサイトである「微博」等にも、ジェクンドの子供たちたちが冬服や食べるものに不足し苦しんでいるという情報や写真が載せられている。ネット名ギャセブンパ(རྒྱ་སེའི་བུམ་པ་)という人の微博上の記事によれば、9月末に新華社電の記者がジェクンドのラチュックショルマ(ར་ཕྱུག་ཞོལ་མ་)の町に行った時、その地の学生1551人が今も寒さと風の中、暖房設備のないテントに暮らしていることを確認し、さらに被災地の他の多くの学校がこれと同じような状況であると書いていたという。
去年7月9日、中国政府の関係機関がカム、ジェクンドの地震被災地への義援金の総額を発表している。それによれば、政府義援金が73億200万元(約876億円:レート1元=12円)。民間義援金が106億5700万元(約1278億円)。微博上には多くの人たちがジェクンドの被災地に義援金が総額179億5900万元(約2155億円)も集まりながら、小さな被災地の学校の寄宿舎も建てられず、子供たちに暖かい服も行き渡らないのは、中国の関係者たちがみんなが寄付した金を着服し、政府の役人たちが政府の義援金を横領したからに違いない、との話を載せている。
(地震が起こったのは1年半以上前の2010年4月14日。多くの被災者が2度目の冬もテントで過ごす)
その他、11月1日の夜中12時頃、被災者たちのテントが密集している地域で火事が発生し、火は3時半まで燃え続けた。この火事により4000平方メートルが焼け、ベニヤとビニールで作られた家200戸とテント40張りが焼失したという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)